2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07727
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 岳 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAGERBRAND Annika K. 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 鮮体類 / 標高 / 温度勾配 / 高山帯 / シモフリゴケ / タチハイゴケ / イワダレゴケ / 生理活性 |
Research Abstract |
北海道の亜高山帯から高山帯にかけて分布する鮮体類(シモフリゴケ・タチハイゴケ・イワダレゴケ)を指標にし、生育環境や標高の違いに対する成長応答と生理活性を現地調査ならびに室内実験により計測した。2年間に及ぶ野外での成長解析の結果、温度変化に対する成長の感受性は、種間・個体群間で大きく異なっていた。例えば、森林帯に主な分布域を持つタチハイゴケは、温度増加に対して伸長生長を増加させる傾向があった。一方で、高山帯に主な分布域を持つシモフリゴケは、高温域で生長の低下が見られた。また、北海道内に広く分布するタチハイゴケを6つの山域で比較した結果、成長速度、分枝パターン、蛍光光合成活性(Fv/Fm比)、窒素含有量いずれにも地域間で違いが見られたが、標高変化に対する感受性は様々であり、明瞭な傾向は認められなかった。室内実験により同一環境で生育させても、鮮体類の温度応答は山域により異なり、遺伝的な差異の存在が示唆された。冷温帯から寒帯地域にかけて広く分布する鮮体類の成長応答を詳細に計測した研究例は、これまでに非常に少ない。本研究成果は、気候変動に対する鮮苔類の応答を予測する際に、個体群あるいは地域固有の応答を考慮する重要性を示唆するものである。以上の研究成果は、現在3つの学術論文として投稿準備中である。また、気候変動に対する鮮苔類の応答についての総説を投稿中である。
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