2007 Fiscal Year Annual Research Report
スペクトル理論の立場からの数論的L関数の零点の研究
Project/Area Number |
07J00092
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 正俊 Rikkyo University, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Riemann予想 / 零点の固有値解釈 / 不完全Eisenstein級数 / 楕円曲線のL関数 / ゼータ積分 |
Research Abstract |
1999年,A. ConnesによりHecke L関数の零点をあるGL(1)上の関数空間上それ以前にの作用素の固有値(点スペクトル)として解釈する理論が提唱された.一方,D. Zagierはそれ以前にRankin-Selberg法を用いてGL(2)上のある関数空間とRiemannゼータ関数の零点の関係を見出していた.彼等の理論の相互関係は興味ある問題ではあったが,その具体的関係は不明であった.私は不完全Eisenstein級数を媒介にしてConnesのGL(1)上の理論とZagierのGL(2)上の理論の関係性を明らかにし,それを用いてZagierの理論にスペクトル理論的な解釈を与え,Riemannゼータ関数のRiemann予想があるGL(2)上の跡公式と同値である事を示した.この成果は2008年2月にMax-Plank Institute for Mathematicsで開催された研究集会で発表された. また簡約可能代数群Gとその最大放物群Pに対してEisenstein級数を用いて定義されるあるゼータ関数について,Gがシンプレクティック群Sp(4)または例外群G_2の場合にRiemann予想が成立する事を証明し,その成果をhttp://arxiv.org/において発表した.またGがSL(4),SL(5)の場合についてもRiemann予想が成り立つ事を数値実験により確認した.(SL(2), SL(3)の場合は私の過去の研究で扱われている.) さらに楕円曲線EのL関数L(E, s)について,その解析接続や零点の分布を二次元ゼータ積分の観点から研究し,その成果の一部をFesenko, Ricottaとの共著論文にまとめた(近日発表予定).この研究はNottingham大学にて行われた.
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