2008 Fiscal Year Annual Research Report
空気振動現象の観測と数値計算による火山爆発過程の定量的解明
Project/Area Number |
07J00126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横尾 亮彦 Kyoto University, 防災研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 火山噴火 / 空気振動 / 桜島火山 / 昭和火口 |
Research Abstract |
2008年2月には流下距離1kmを越える火砕流が複数回発生し、また、2008年4月から断続的に噴火が発生するなど、桜島昭和火口の噴火活動がこれまで2年間に比べて活発化したことをふまえ、当初予定していた本年度の研究実施計画はやや変更された。すなわち、京大防災研・桜島火山観測所と国交省・大隅河川国道事務所の協力の下、昭和火口を取り囲む配置で低周波マイクロホンによるネットワーク連続観測を、また、昭和火口を正面から観察することが可能な黒神観測室から可視・熱赤外映像観測を併せて実施した。 昭和火口の噴火に伴う空振波形には、南岳山頂火口の噴火に伴う空振波形に類似し、微弱で緩慢な「先行相」と大振幅で急峻な圧力変化の「主要相」に大別される特徴が観察された。噴火表面現象との対応性から考えれば、定性的には、昭和火口の空振励起過程についても、自身が昨年度に明らかにした南岳山頂火口の噴火による空振励起過程(火口底の変形・破壊とそれによる火口底直下からの圧力開放)とほぼ同様の事象を想定して構わないと考えられる。しかし、噴火規模の小ささに起因してか、昭和火口噴火に伴う地震波形は南岳山頂火口のそれに比べて短周期成分が相対的に卓越し、そのため非常に複雑なものとなる。また、一部の噴火では、先行相の放射開始時刻にはすでに弱い噴煙放出が観察されるため、南岳山頂火口噴火に伴う空振励起過程とは本質的に異なっている可能性も否定できない。引き続き、多項目連続観測を実施し続け、噴火発生時に火口内で起きている空振励起過程を推定できるような解析方法を模索していく必要がある。 なお、これらの研究成果の一部は、アイスランドならびにインドネシアで開催された国際会議において発表した。また、南岳山頂火口における空気振動励起過程については、「Bulletin of Volcanology」誌に受理され、オンライン公開がなされた。空振ネットワーク観測結果、熱赤外映像観測結果等については、「第10回桜島火山の総合集中観測」報告書にまとめた。
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Research Products
(4 results)