Research Abstract |
保型形式の零点の配置についての研究では,まず,階数が12以下の合同部分群T_0(N)の種数0のnormalizerについて,その基本領域,頂点公式,各尖点に対するEisenstein級数,保型形式の空間,そしてHauptmodulについて調べた。それらを用いて,それぞれの群に対して重みが400以下のEisenstein級数,次数が200以下のHecke多項式に対応する保型形式の零点の配置を数値的に求めた。その結果,ある基本領域の境界の円周のHauptmodulによる像が実軸上にあるような群について,Eisenstein級数の全ての零点が境界の円周上にあること,またHecke多項式に対する保型形式については高々1点を除いて全ての零点が境界の円周上にあることを示した。さらに,H.Hahn氏の結果を応用し,ある仮定を満たす種数0のフックス群について,Eisenstein級数のほとんど全ての零点が境界の円周上にあることを理論的に証明し,一方,その仮定を満たさない群については,境界の円周上にない零点の存在を数値的な計算によって示している。 一方,球面上の代数的組合せ論に関する研究では,有限グラフからその最大アーベル被覆となる結晶格子の標準的実現を構成するという方法を用いて,高次元正胞体に対応するグラフを始め多くの有限グラフからユークリッド空間上の有限集合を計算しその性質を調べた。特に,30点以下のアソシエーション・スキームの隣接行列から得られる有限グラフ(強正則グラフ・距離正則グラフを含む)から得られる有限集合を球面上に埋め込むことができ,それらが球面上の3-デザインであることを示している。
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