2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌ペプチドの生物活性を増強するペプチドエピメラーゼの探索と光学異性化機構の解明
Project/Area Number |
07J00716
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒川 健佑 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | 光学異性化 / ペプチドエピメラーゼ / D-アラニン / 乳酸菌 / 抗菌ペプチド / バクテリオシン / ガセリシンA / ロイテリシン6 |
Research Abstract |
生物がリボソーム上で生合成するタンパク質およびペプチドは、そのほとんどがL-体のアミノ酸から構成されている。しかし、ごく一部のペプチドにおいて、計画的にD-体が構成アミノ酸となることが知られている。Lactobacillus gasseri LA39およびLb. reuteri LA6は、D-アラニン(D-Ala)をそれぞれ2および1残基含む抗菌性ペプチド(バクテリオシン)「ガセリシンA (GA)」および「ロイテリシン6 (R6)」を生産する。本研究では、GAおよびR6におけるD-Alaの局在を明らかにし、D-Alaをペプチドに組み込むための関連遺伝子およびその機構を解明することとした。 1、GAおよびR6におけるD-Ala局在性の解明 大量培養したLA39培養液からGAを大量精製した。現在、精製GAを様々なペプチダーゼで処理し、それぞれの分解断片をD,L-アミノ酸組成分析に供し、D-Alaの局在を精査している。平成20年度は、GAだけでなく、R6におけるD-Alaの局在も明らかにする予定である。 2、LA39およびLA6におけるGAおよびR6最小遺伝子領域の決定 LA39から抽出した全DNAには染色体DNA以外に巨大なプラスミドDNAが含まれており、GA構造遺伝子gaaAはその巨大プラスミド(pLgLA39)上にコードされていた。GA生合成関連遺伝子群(gaa)推定領域(gaaAを含む7遺伝子)をバクテリオシン非産生株Lb. gasseri JCM1131^Tに形質転換したところ、形質転換株培養液からはLA39培養液と同等の抗菌活性画分が得られた。以上のことから、巨大プラスミド上のgaaA周辺7遺伝子がGA最小遺伝子領域であると強く示唆された。LA6においても、LA39と同様に、巨大プラスミド(pLrLA6)が検出され、R6最小遺伝子領域が構造遺伝子周辺の7遺伝子であると強く示唆された。本結果は、他の研究成果とともに原著論文に纏め、平成20年度内に学術誌に投稿する予定である。また、平成20年度は、gaa領域の各遺伝子を欠失した変異株を作製し、D-Alaをペプチドに組み込むための関連遺伝子を同定する予定である。
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