2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛フィンガータンパク質の標的DNA配列への巻付き過程の解明と分子設計への展開
Project/Area Number |
07J00755
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 達也 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 亜鉛フィンガー / DNA結合様式 |
Research Abstract |
亜鉛フィンガータンパク質は、その結合特性から人工的に新規DNA結合タンパク質をデザインする骨格として非常に優れており、人工転写因子や人工制限酵素などの応用面への研究が注目されている。しかし一方で、最も根本的な問いかけである、その標的DNAへの巻付き過程については殆ど研究が行われておらず、未だに明らかにされていない。本研究ではin vitroでは結合平衡到達に長時間を要するマルチ亜鉛フィンガータンパク質を用いることで、亜鉛フィンガータンパク質の標的DNAへの巻付き過程を解明し、得られた知見を基に新規分子設計を行うことを目的とする。今年度は、亜鉛フィンガー型人工転写因子は細胞内過剰発現下では、フィンガー数非依存的に速やかに標的遺伝子の転写を活性化することをBiochemistry誌に報告した。この結果は、一定以上濃度条件下では、in vitroで観察されたマルチ亜鉛フィンガーの、完全な巻付きに長時間を要するという特性は転写活性化のカイネティクスには影響を与えないことを示すものであり、長鎖DNAを認識可能なマルチ亜鉛フィンガーの有用性を支持する結果であると考えられる。これと同時に、細胞内における、亜鉛フィンガーのフィンガー数依存的な挙動、移動度をより直接的に観察することを試みた。具体的には3、4、5及び6フィンガーに蛍光タンパク質を連結させた変異体を作製し、これらをHeLa細胞に発現させ、FRAP(fluorescence recovery after photobleaching)により、それぞれの移動度を測定した。その結果、亜鉛フィンガータンパク質はフィンガー数の増加に伴い、核内における移動度が顕著に低下する傾向を示した。今後、さらに天然の亜鉛フィンガーに関しての検討を含め、より詳細に検討していく予定である。
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