2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立花 幸司 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 古代ギリシア / 哲学 / アリストテレス / 倫理 / 倫理学 / ニコマコス / 行為 / エウデモス |
Research Abstract |
申請者の研究目的である「アリストテレスにおける動物の行動と人間の行為の異同に着目することで、人間に固有な倫理の特徴を分析し、自発性、思考能力、選択、責任、教育、徳、実践的推論、必然性といった倫理学上重要な諸概念とそれらの相互関係を明確にすること」について、19年度は、研究計画に沿い、「行為の自発性と意志の弱さの位置づけ」および「欲求と認知の関係」の研究に従事した。この研究は、18年度に発表した二つの論文((1)「アリストテレスにおける酔っぱらい」、(2)「科学技術者を対象とした予防倫理の効果的な運用と哲学者の参与について」)を背景として進められた。補助金により必要な文献を揃え、<欲求と認知を育む教育>というアリストテレスの洞察を精査し、人間の倫理性、道徳性を教育を手掛かりにして考察した。この考察は口頭発表され、その批判を踏まえて「アリストテレス倫理学における行為と教育」として公刊された。 このアリストテレス研究としての成果と関連し、現代日本における裁判員制度とコンセンサス会議市民参加型テクノロジーアセスメントを手掛かりに、現代日本の道徳教育制度のあり方を考察した「The Possibility of Civic Virtue in present-day Japan」、脳科学、神経科学と社会の関係を、道徳の脳科学研究を手掛かりにして考察した「Toward a Good Relationship between Brain Science and Society」をそれぞれ国際会議にて発表した。 これらの成果はいずれも、徳育、道徳教育を巡る成果である。徳育、道徳教育の意味と課題を、アリストテレスともに原理的に考察し、さらに現代日本における現実的な問題として捉え返した点に意義と重要性がある。年度末には、本年度の研究成果の総まとめと来年度への下準備をおこなった。
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Research Products
(7 results)