2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J01243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
猿渡 亜由未 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 砕波 / 飛沫 / 三次元Large Eddy Simularion / フィンガージェット |
Research Abstract |
沿岸域において砕波に伴い発生する飛沫は特に暴波浪時に大量に陸域へと飛来し沿岸構造物等の塩害の原因となる他,砕波ジェットの構造物への衝突に伴う越波飛沫は人的・物理的被害をもたらす原因となる為,沿岸域の安全性を確保する為には飛沫の生成量や飛散範囲を予測法を確立する必要がある一方,その為の研究は十分に行われていない.そこで,巻き波砕波発生時の飛沫生成機構を明らかにすると共に,飛沫生成量について統計的に特徴化する為に,砕波ジェットの着水過程を三次元Large Eddy Simulationにより数値的に再現した.ジェット着水に伴う水面の局所変形を正しく計算するために,表面張力の作用等の自由水面における力学的境界条件を厳密に与え得る事が確認されている数値計算法を用いた.勾配を有する水路内で造波境界において初期擾乱を含む波浪を与える事により数値試行実験を行い,ジェットの水面形遷移の結果として生じる飛沫について統計的特徴を調べた.本研究により得られた主な結果を以下に示す. 1.砕波に伴う飛沫の生成機構を解明した.即ち,砕波ジェット着水に伴い放出される二次ジェットは,内部に含まれる波向き方向に軸を持つ交互交代縦渦の作用により変形していき,先端がフィンガー状に分裂する.フィンガーはその後長く伸張されていき,表面張力不安定を経て分裂する事により飛沫が生成される. 2.フィンガーから飛沫への分裂確率を,ジェット流体の加速度により特徴化できる事が明らかとなった.二次ジェットからフィンガーへの分裂確率については既にモデル化を行っており,本結果と統合する事により砕波に伴う飛沫の最大発生量を予測し得る.
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