2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫抗微生物ペプチド由来改変ペプチドの病原細菌及びがん細胞増殖抑制効果
Project/Area Number |
07J01733
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 崇 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ディフェンシン / D型アミノ酸 / 正電荷 / 抗細菌 / 抗がん / ホスファチジルセリン / ミトコンドリア / 負電荷 |
Research Abstract |
カブトムシ由来の抗微生物ペプチド、ディフェンシンに基づき化学合成されたD型アミノ酸改変ペプチドD-peptide A(RLYLRIGRR-NH_2)、D-peptide B(RLRLRIGRR-NH_2)、D-peptide C(ALYLAIRRR-NH_2)、D-peptide D(RLLLRIGRR-NH_2)は、がん細胞膜上に多量に表出している酸性リン脂質ホスファチジルセリンをターゲットとすることで、細胞選択的な抗がん活性を示すことが分かっている。特にマウス骨髄腫細胞に対して強い抗がん活性を示した(IC_<50>=28〜140μM)。さらにこの抗がん活性は、正電荷を帯びた改変ペプチドと、負電荷を帯びたホスファチジルセリンの電気的な相互作用に起因していることも分かった。しかしながら、改変ペプチドの実用化を視野に入れた場合、より強力な抗がん活性が必要とされた。そこで我々は新たな標的としてミトコンドリアに着目した。ミトコンドリアは負電荷を帯びた外膜を持っていることが報告されていることから、我々の改変ペプチドを細胞内へ導入した場合、ミトコンドリアを破壊し、強力な細胞毒性を示す可能性が示唆された。そこで我々は新たに、細胞膜透過配列であるocta-arginineを分子内に持つ新規改変ペプチドD-peptide C2(ALYLAIRRRRRRRR-NH_2)を合成し、がん細胞に対する生理活性を検討した。その結果、D-peptide C2はがん細胞内へ移行した後にミトコンドリアを破壊することで、細胞膜透過能を持たない4種の改変ペプチドと比較して、30〜180倍強い抗がん活性を示した。また、4種の改変ペプチドも単離ミトコンドリアに対して速やかな破壊を示したことから、ミトコンドリアは我々の改変ペプチドにとって有効な標的となり得ることが明らかとなった。今後はがん細胞特異的なドラッグデリバリー(薬物輸送)システムを利用して、特定のがん細胞のミトコンドリアを標的とするペプチドをデザインしていく予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] A genome-wide analysis of genes and gene families involved in innate immunity in Bombyx mori2008
Author(s)
Hiromitsu Tanaka, Jun Ishibashi, Kosuke Fujita, Yoshiro Nakajima, Aki Sagisaka, Kazuya Tomimoto, Noriko Suzuki, Mikio Yoshiyama, Yoichi Kaneko, Takashi Iwasaki, Tomoya Sunagawa, Kayoko Yamaji, Ai Asaoka, Kazuei Mita, Minoru Yamakawa
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Journal Title
Insect Biochemistry and Molecular Biology 38
Pages: 1087-1110
Peer Reviewed
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