2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 洋一 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(CD)
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Keywords | コホモロジー / リジッド空間 / Lefschetz跡公式 |
Research Abstract |
私はリジッド空間のl進エタールコホモロジー論について研究を行っている。リジッド空間とは複素解析空間の非アルキメデス類似であり、そのエタールコホモロジーは局所ラングランズ関手性への応用という観点から見て極めて重要な研究対象である。今年度は、固有とは限らない準コンパクトリジッド空間のLefschetz跡公式についての研究に進展があった。Lefschetz跡公式とは、代数多様体やリジッド空間などの幾何学的対象に自己代数的対応があるとき、それがコホモロジーに引き起こす自己準同型のトレースの交代和と固定点の個数を関係づけるタイプの等式である。形式幾何学も代数化も用いない純リジッド幾何学的な手法によって、リジッド空間が滑らかであり、かつ自己代数的対応がコンパクト化の境界に固定点を有しない場合に所望の跡公式を得ることができた。現在はこの公式をRapoport-Zink空間などの興味深いリジッド空間のコホモロジーの計算に応用することを考えている。 また、リジッドコホモロジーについても研究を行った。リジッドコホモロジーとは、リジッド幾何学を用いて定義される正標数の体上の代数多様体のp進コホモロジーである。リジッドコホモロジーは「正しい」コホモロジーでありl進コホモロジーと同様のよい性質を有していると期待されているが、まだ分かっていないことが多い。今年度私が考察したLefschetz跡公式もその一つである。私は、加藤氏・斎藤氏と類似の方法を用いることで、藤原氏の跡公式のリジッドコホモロジーにおける類似を滑らかなスキームの場合に証明することができた。これの応用として、l進コホモロジーの跡とp進コホモロジーの跡とを比較することでl進コホモロジーにおける代数的対応の作用のトレースの整数性を得ることができた。
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