2007 Fiscal Year Annual Research Report
農業害虫ナミハダニにおける農薬抵抗性発達メカニズムの集団遺伝学的解析
Project/Area Number |
07J02238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 龍士 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カンザワハダニ / 殺ダニ剤抵抗性 / 殺虫剤抵抗性 / 集団構造 / 長距離分散 / ナミハダニ / マイクロサテライト / 連鎖地図 |
Research Abstract |
1.「殺虫剤抵抗性遺伝子の連鎖関係の解明」についての研究成果 本研究では、中立遺伝マーカーを用いた遺伝子地図上での、ハダニの殺ダニ剤抵抗性遺伝子の相対的位置を調べることで、これまでハダニが獲得した抵抗性の種類と数のパターンを調べる。具体的には、複数の全く異なる作用機構を持つ殺ダニ剤に抵抗する単一の遺伝子や遺伝子群を発見することが期待される。以下は、本研究テーマの進行状況である。 ナミハダニとその近縁種であるカンザワハダニついて、10世代の連続母子交配による近交系統を作成した。ナミハダニについては、交配実験によって3つの組み合わせ(8遺伝子座)で連鎖関係が見つかった。さらに、マイクロサテライトと殺ダニ剤の1種であるエトキサゾールとの間に強い連鎖関係があることが判明した。 2.「圃場での集団構造の経時的変化の解析」についての研究成果 ナミハダニの分散には、小スケールでの移動に関わる歩行分散と大スケールの移動に関わる風分散の2つのタイプがある。これら2つのスケールにおける個体の移動能力を明らかにすることは、薬剤抵抗性の発達や拡散のパターンを推定するための手助けとなる。本研究ではマイクロサテライトマーカーを使って遺伝的交流の頻度を解析し、2つのタイプの圃場環境(ガラス室のバラ圃場と露地栽培のリンゴ圃揚)での分散の実態を解明することを試みた。結果、バラ圃場では、歩行分散を中心とした短距離分散による集団構造、リンゴ圃場では風分散など長距離分散による集団構造が見られた。
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