2008 Fiscal Year Annual Research Report
MOSトランジスタのサブスレッショルド特性を利用したスマートセンサLSIの開拓
Project/Area Number |
07J02413
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 憲一 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | CMOS / アナログ回路 / サブスレッショルド領域 / スマートセンサ / ユビキタス / 極低消費電力 / プロセスばらつき / MOSFETの温度特性 |
Research Abstract |
本研究は、「極めて微小な電力で動作するスマートセンサLSIの構成方法を確立すること」を目的に、大きく以下の研究課題に取り組んだ。LSIの消費電力を格段に低減する手法として、本研究ではMOSFETのサブスレッショルド領域(しきい値電圧以下で動作)を利用した回路設計手法の確立を目指している。以下に、本年度の研究成果を示す。 (1).製造バラツキ補正回路の提案,試作,評価 サブスレッショルド領域で動作するMOSFETの大きな問題点として、そのデバイス特性から製造バラツキによる影響を受けやすくトランジスタ性能が悪化することが上げられる。そこで、チップ内の製造バラツキをモニタリングする回路アーキテクチャの検討を行った。このモニタリング信号をチップ内の被補正回路にフィードバックすることで、製造バラツキに対して耐性のある回路を実現することが可能である。実際にLSIチップ試作、評価を行い製造バラツキに対する耐性動作の効果を確認した。 この研究内容は国際会議,国内学会において発表行い、さらに現在、論文誌に投稿中である(21年度,掲載決定)。 (2).参照電圧源・電流源・クロック源回路の提案,試作,評価 MOSFETのサブスレッショルド領域特性は、温度に対して敏感に変化するため、その回路システムには、温度変化や電源電圧の変動に対しての影響が小さい電圧・電流・クロック等の参照回路が必要になる。通常の参照電圧源・電流源回路はバイポーラトランジスタと抵抗体を必要としチップ面積、消費電力ともに大きい。このため、現行の回路で使用されている抵抗体を用いずに、サブスレッショルド領域で動作するMOSFETのみで構成した参照電圧源・電流源回路を提案した。さらに、現行の回路よりも消費電力を格段に低減したクロック源回路の検討も行い、LSIチップ試作、評価を行った。これらの回路は温度変化に対して一定の参照信号を出力する回路アーキテクチャであり、回路全体の消費電力も既存の回路と比較して1/10〜1/100の消費電力である。 この研究内容は、国内学会、国際会議において発表を行い、さらに現在、論文誌に投稿中である(21年度,掲載予定)。
|