2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02642
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大江 宗理 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 卵減数分裂 / ツメガエル / APC / C / MAPK / 細胞分裂抑制因子(CSF) / Erp1 / Emi2 / 分裂中期停止 / Mos |
Research Abstract |
脊椎動物の卵減数分裂周期は、S期を省略した2回の連続したM期(第一減数分裂,MI:第二減数分裂,MII)からなり、MI期からMII期への進行(MI/MII転移)後、卵はMII期中期(Meta-II)で分裂周期を停止し、受精を待つ。このMeta-II停止を引き起こす因子は細胞分裂抑制因子(CSF)とよばれる。卵減数分裂特異的なMos-MAPK経路はCSFの分子的実体であり、MI/MII転移及びMeta-II停止に必須とされるが、どのような機構でこれらの現象を引き起こすかについては不明である。今年度、まず我々はAPC/Cの抑制因子であるErp1(別名Emi2)がMI/MII転移頃に合成を開始し、MI/MII転移及びMeta-II停止を引き起こすことを明らかにした。その結果、Mos-MAPK経路とErp1の役割には類似性が見られた。しかしながら、これらは独立に機能するとされている。そこで次に我々はMos-MAPK経路とErp1の関係について解析を行った。卵減数分裂過程でMos-MAPK経路の働きを阻害するとErp1は正常に合成されるが、MI/MII転移及びMeta-II停止はおこせないことがわかった。また、受精後の卵割期においてもErp1は発現しており、外来的なMosの導入によりErp1が活性化し、卵割の分裂期停止がおこることもわかった。従って、Erp1の活性はMos-MAPK経路に依存することが示された。さらに我々はMos-MAPK経路の最下流キナーゼであるp90RskがErp1をリン酸化するかどうかを調べた。その結果、in vitro及びin vivoでp90RskはErp1の少なくとも二つのアミノ酸残基(Ser335・Thr336)をリン酸化することがわかった。さらに、このリン酸化はErp1の活性化及び安定化に必須であることもわかった。以上の結果からMos-MAPK経路のErp1への直接的なつながりが示され、CSFの全分子経路が明らかになった。
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