2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一世代星の自転磁場重力崩壊とニュートリノ・重力波の放出
Project/Area Number |
07J02762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諏訪 雄大 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 重力崩壊 / 第一世代星 / ニュートリノ / 重力波 |
Research Abstract |
140億年の宇宙の歴史の中で、最初に天体が生まれたのは、宇宙誕生から1億年の頃だったと考えられている。すばるなどの大型望遠鏡による最近の観測で、宇宙誕生から10億年頃の宇宙の様子がとらえられるようになってきた。そこでは、すでに銀河が誕生していることが分かっている。一方、宇宙背景放射から知ることのできる宇宙年齢40万年頃の宇宙は、温度は高いが物質は極めて一様であり、天体のような構造は存在しない。したがって、宇宙年齢40万年から1億年の時代に宇宙で最初の天体(第一世代星)が形成されたということになる。 本研究員はこのような第一世代星の末期の瞬間である重力崩壊について数値シミュレーションを用いて研究を進めている。第一世代星は現在の天体と比べて非常に質量が大きかったということが示唆されている。このことによって、第一世代星の進化は通常の星と大きく異なるということが分かっており、特に進化の最終段階である重力崩壊は、その巨大な質量により非常に激しいものとなることが予想される。しかしながら、その重力崩壊の際にどのような現象が起こるのかはあまり調べられてこなかった。特に、21世紀になって注目を浴びている重力崩壊における多次元の効果を取り入れている研究は皆無と言ってよく、第一世代星の重力崩壊はこれまで分かっていることはほとんどないと言って過言ではなかった。 そのような背景の中、今年度は第一世代星の重力崩壊のシミュレーションの結果を用い、そのニュートリノ放射について調べた。その結果、初期に持つ回転が大きいほどニュートリノ光度も平均エネルギーも大きくなることを明らかにした。また、背景ニュートリノへの寄与を定量的に見積もり、第一世代星の寄与が他の天体に比べ非常に大きくなるエネルギー帯域が存在しうることを示した(論文[1]など)。また、背景ニュートリノの観測を用いて第一世代星の情報に加え、その星形成史にも制限を加えることが可能であることを示すことができた。
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Research Products
(15 results)