2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん患者と家族の関係性の向上を目指した心理支援プログラムの開発
Project/Area Number |
07J02833
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩崎 麻里子 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソーシャルサポート / がん患者 / 心理的適応 / ネガティブサポート / 二者関係 / 縦断的研究 / 乳がん |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は、親しい他者からの「ネガティブサポート」が患者の心理的適応に及ぼす影響の経時的変化を明らかにすることを目的とした。具体的には、大学病院にて乳がんの診断を受け、治療中の患者を対象に、ネガティブサポート(過剰関与因子・問題回避因子・過小評価因子)、全般的なソーシャルサポート(サポート数・サポート満足感)、心理的適応に関して、手術前・1カ月後・3カ月後の3時点で縦断的な質問紙調査を行った。 まず、各変数と年齢を独立変数として、適応障害の基準を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、術前(N=97)は、問題回避ネガティブサポートが有意傾向となった(OR=2.15, p<0.10)。また、1カ月後(N=75)は化学療法の有無(OR=2.52, p<0,10)が、3カ月後(N=56)は問題回避ネガティブサポート(OR=2.52, pく0.10)が有意傾向となった。 次に、問題回避ネガティブサポートに着目し、各時点でのサポートが各時点の心理的適応得点に及ぼす影響と、前の時点のサポートがその後の心理的適応に及ぼす影響を考慮したモデルを構築し、構造方程式モデル分析を行った。その結果、術前の問題回避ネガティブサポートが術前の心理的適応に影響し(B=0.25, p<0.05)、術前の心理的適応が術後の心理的適応に影響を及ぼしている(B=0.41,p<0.05)ことが示唆された(X2乗値=12.56, p<0.01, CFI=0.96, RMSEA=0.14)。 これらの結果から、乳がん患者の術後6ケ月の心理的状態は、術前の心理的状態によって予測され、術前の心理的適応には親しい他者との関係性が影響すること、また、術後6ケ月の心理的状態は、それ以前の心理的状態や対処などによって説明されるため、早い段階で悪循環を止めることが重要であることが示唆された。
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Research Products
(13 results)