2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトと霊長類のコドモの社会的遊びの映像分析による規則の進化的基盤の探求
Project/Area Number |
07J02953
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
島田 将喜 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学研究科, 特別研究員(PD) (10447922)
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Keywords | 社会的遊び / 物を伴った社会的遊び / 役割 / プランケンダール動物園 / マハレ山塊国立公園 / チンパンジー / ボノボ / ニホンザル |
Research Abstract |
霊長類複数種間で、異なる役割を含む社会的遊びの相互行為をデジタルビデオの記録を詳細に分析するという本研究の目的と、本年度の研究実施計画に基づき、年度の前半には出版済みの論文および成果を国際学会・国内学会で公表を積極的に行った。国際学会発表は計4回、国内学会・シンポジウム発表は計3回行い、国内外の特に遊び行動の研究者との有意義な情報交換を行うことができた。 マハレ調査隊との都合上、今年度の野生チンパンジーおよびトングウェの調査のためのタンザニア渡航は延期せざるを得なくなったが、野生のPan属(チンパンジー・ボノボ)の研究に取り組む前に、飼育された類人猿の観察を行うことは、予備観察や比較しうるデータ収集の観点からも重要と判断したために、ベルギー・プランケンダール動物園において飼育されているボノボに対する観察を実施し、14日間計40時間の特にアカンボウ・ワカモノの遊び行動に関する映像データを得た。この映像データを用いて、現在ボノボの遊び行動に関するエソグラムを編集中であるが、こうした類人猿の遊びのエソグラムはこれまで公表されておらず、今後の研究を大いに助けるものと期待される。なおタンザニアでの調査は20年度12月中旬に延期する。 またこれらの変更に伴い、21年度に予定している京都市嵐山の餌付けニホンザルの調査との比較データ収集のために、宮城県金華山に生息する純野生ニホンザルのコドモの社会的遊びの調査を継続中である。現在までに、純野生ニホンザルにおいても、意外なほど多様でしかも高頻度の遊び行動が、状況によっては生じることが分かってきた。しかも物を伴った社会的遊びも場合によっては高頻度で生じる。こうした研究成果が、餌付けニホンザルと直接比較されることによって、物を伴った社会的遊びの「文化的」側面が明らかにされるものと期待される。
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