2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体を模倣したリン脂質ポリマーによる眼科用バイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
07J03206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 達郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオマテリアル / ポリマーグラフト / ハイドロゲル / バイオミメティックス / タンパク質吸着 / 酸素透過性 |
Research Abstract |
バイオマテリアルと総称される生体材料と生体(高)分子との間における界面、つまり、バイオ界面においては、材料と生体分子との間での不適切な反応や相互作用が起こらないための分子設計・界面設計が必須条件となる。本研究者は細胞外膜の性質に着目し、人工材料上に再構築することを目的として分子設計された2-メタクリロイルオキシエチルポスホリルコリン(Mpc)(Polym. J.1990,22,355.)を用いて人工細胞膜を構築し、力学特性・物質透過性・光学特性などの特異なバルク物性を有した材料基材と組み合わせることによって、機能性バイオマテリアルを生み出すことを見出した。材料表面での物理・化学的な安定性を確保するために、グラフト重合法をもちいて、基材表面と共有結合を形成する人工細胞膜の設計と構築を行った。そしてグラフト鎖の密度および鎖長はモノマー濃度・UV照射時間によって制御できることを明らかにした。アルブミンとフィブリノーゲンの非特異的吸着量はモノマー濃度の増加とUV照射時間の増加にともない減少した。つまり、グラフト密度が増加することにより、タンパク質非吸着特性が向上することが確認された。一方、グラフト密度が低い場合においては、タンパク質が基材のPDMS表面と強く相互作用した。また、タンパク質非吸着特性はグラフト層厚さに依存しないことも判明した。以上、光グラフト重合という手法を用いることによって、材料基材上の任意の領域に共有結合を介して安定した人工細胞膜表面を構築することが可能となった。また、その人工細胞膜表面はタンパク質非吸着特性のみならず水濡れ性・潤滑特性といった多機能性を有する表面であり、バイオマテリアルとして有望であると結論付けられる。
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