2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03483
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横井 紀彦 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | ベータヘリックス / 熱安定性 / フュージョン蛋白質 / T4ファージ / 人工複合蛋白質 / フラビン / タンパク質修飾 / 部品蛋白質 |
Research Abstract |
人工分子を配列化することで、分子間電子伝達反応など、単体の分子とは異なる機能の獲得が期待できる。本研究では、蛋白質表面へ人工分子を導入し、その蛋白質三次元構造を基にした分子配列の構築を試みた。我々は、そのために、高温条件下や有機溶媒中で高い構造安定性を有する蛋白質の利用が重要と考えた。アミノ酸の化学修飾反応がそのような条件下で行う事ができれば、様々な人工分子を蛋白質表面上へ導入でき、また、その人工分子を用いた化学反応も蛋白質表面上で実現可能となるためである。 これまでに、我々は蛋白質の構造モチーフの中で、特に安定なことが知られているベータヘリックス構造に着目し、T4ファージの部品蛋白質gp5C三量体のベータヘリックス構造を分子基盤として利用することを試みてきた。今回、我々は新たに、そのべータヘリックス構造から特に安定な部分構造を選出し、三量体構造形成を補助するT4ファージの部品蛋白質フォルドンとのフユージョン蛋白質を作成することで、熱的、化学的に安定な蛋白質複合体の形成に成功した。この蛋白質を[(gp5Cf)_3]_2と命名する。[(gp5Cf)_3]_2の熱安定性はDSC測定により評価した。化学的な安定性は、[(gp5Cf)_3]_2表面上への人工分子の化学修飾反応より評価した。具体的には、結晶構造解析より、[(gp5Cf)_3]_2表面に30個のリシン残基が存在することを明らかとし、このリジン残基とサクシミジルエステルとの反応により、フラビンの[(gp5Cf)_3]_2表面への修飾反応を行った。その結果、フラビンの修飾反応後においても[(gp5C)_3]_2の構造は保持され、また、そのフラビンを用いた触媒反応が円滑に進行することを確認した。よって、本研究で作成した、人工複合蛋白質[(gp5Cf)_3]_2は、熱的、化学的に安定であり、分子配列基盤として有用と期待できる。今後は、蛋白質表面アミノ酸残基をデザインする事で、修飾分子の配列のデザインを試みていく。
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