2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分離に関わる生体超分子複合体の構造生物学的研究
Project/Area Number |
07J03567
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有田 恭平 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 構造生物学 / DNAメチル化 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
UHRF1は細胞周期の進行に、特にG1期からS期への転移に関与する因子であり、染色体の高度に凝集された領域であるペリセントロメア領域のDNA複製に関与しているタンパク質である。UHRF1は複数のドメイン構造を保持するが、SRA domainはDNA合成期に複製された新生鎖DNA中のヘミメチル化CpG配列を認識するドメインであり、ゲノムDNA中のメチル化パターンの維持に関与している。本年度はマウス由来UHRF1のSRA domain単体、SRA:ヘミメチル化CpG DNA複合体の立体構造をX線結晶構造解析法で決定し、以下のことを明らかにした。 (1)SRA domainはβシートを中心として立体構造を形成しており、サドル状の形をしていた。新規のDNA結合ドメイン構造であることを明らかにした。(2)SRA domainfまDNAの結合によって2つの領域でループ構造が誘起され、それらがDNAの主溝、および副溝側から入り込みDNAを抱きかかえるようにして相互作用していた。また、ヘミメチル化DNA鎖中の5-メチルシトシンはDNA二重鎖から完全にフリップアウトしてSRA domainのポケット内で認識されていた。(3)gel shift mobility shift assay,および等温滴定型カロリーメトリー、MR滴定実験の手法を用いることによりSRA domainがヘミメチル化DNAに特異的に結合し、フルメチル化、非メチル化DNAには非特異的に結合することを明らかにした。(4)Dnmt1とDNAの複合体構造モデルと本研究により決定したSRA domain-DNA複合体構造より、UHRF1からDnmt1へDNAが受け渡され、それに伴って連続した塩基のフリップアウト機構が起こることによりDNAメチル化パターンの維持が行われることを提唱した。
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