2007 Fiscal Year Annual Research Report
変分法を用いた非線形シュレディンガー方程式の安定性解析
Project/Area Number |
07J04235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊池 弘明 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 式系 / 安在波 / 安定性 / 基底状態 / 変分法 |
Research Abstract |
核子場と中間子場との相互作用を記述する方程式系であるクライン・ゴルドン・シュレディンガー方程式系及びそれに関連する方程式系の定在波の軌道安定性に関する研究を行った.ここで,定在波が安定であるというのは,定在波に摂動を加えて時間発展させても,定在波に近い状態にあり続けることであり,そうでないときは不安定であるという,具体的には,以下の研究を行った. 1.太田雅人氏との共同研究として,空間3次元においては,基底状態から作られる定在波は振動数が十分大きいときは安定であり,十分小さいときは不安定となることが分かった. 2.ある値の振動数のときは,よく知られたスカラー場の方程式の正値解を用いて表せる特別な定在波が存在する.この定在波は基底状態から作られる定在波であることが判明した.そして,この定在波は空間次元が3以下のときは安定となり,空間4,5次元のときは不安定となることが分かった.空間6次元以上はこの特別な定在波は存在しないので,すべての次元について解析出来たことになる. 3.波動・シュレディンガー方程式系については,空間4次元のときは,すべての定在波は任意の振動数について不安定であり,空間5次元のときは,基底状態から作られる定在波は任意の振動数について不安定となることが分かった.これらの不安定性の結果は,初期値を定在波にいくら近くに取ってきても,時間に関して一様有界でない解を構成するこで得られたものである.今後の課題はクライン・ゴルドン・シュレディンガー方程式系に対しても類似の結果を得ることである.
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