2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における光合成エネルギー生産の質的制御機構の解明
Project/Area Number |
07J04517
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高林 厚史 Nagoya University, 遺伝子実験施設, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光合成 / バイオインフォマティクス / タンパク質複合体 |
Research Abstract |
前年度までに見出した新規NDHサブユニット候補であるNDF1,NDF2,NDF4,NDF5,NDF6に関して、詳細な生化学的な解析を行った。 まず、ndhM,nahO変異株におけるそれらNDFタンパク質群の蓄積量は野生株と同等であったが、NdhBタンパク質が蓄積しないcrr2-2株においては、NDFタンパク質群が蓄積していなかった。 次に、タバコndhB欠損株,ndhJ/ndhK二重欠損株,ndhC/ndhJ/ndhK三重欠損株におけるNDFタンパク質群の蓄積量を検証したところ、ndhJ/ndhK二重欠損株においては野生株と同等の蓄積量を示し、ndhB欠損株およびndhC/ndhJ/ndhK三重欠損株においては蓄積量が顕著に減少していた。さらに、変異株から抽出したチラコイド膜を用いて、BN-PAGEで分離した後でウエスタン解析を行ったところ、疎水性サブユニットの欠損株であるcrr2-2株ではNDH複合体が検出されなかったが、その一方で親水性サブユニットの欠損株であるndhM株およびndhO株では、サイズが減少したNDH複合体が検出された。この結果は「NDH複合体の疎水性サブユニット群(NdhA-NdhG)の欠損株と親水性サブユニット群(NdhH-NdhO)の欠損株でNDH複合体の存在状態が異なる」ことを示しており、NDH複合体のassemblyやstabilityについて考える上で、重要な知見である。 これまでの結果は「NDFタンパク質群が新規なNDHサブユニットである」ことを強く支持するものであり、鉄硫黄クラスターを有するNDF4はNDHの電子供与体認識に関与する可能性が高いことから、NDHのサブユニット構成に関する研究目的は、ほぼ達成できた。
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