2007 Fiscal Year Annual Research Report
両方向性転換魚オキナワベニハゼをモデルとした魚類の性の可塑性についての研究
Project/Area Number |
07J04896
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小林 靖尚 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性転換 / 魚類 / オキナワベニハゼ / カンモンハタ / 生殖腺刺激ホルモン / 雌性先熟 / FSH / LH |
Research Abstract |
魚類性転換に関する生理学的研究はあまり行われていない。そのため実際に性転換時に魚の体内でなにがおきているのか、また性転換の引き金的役割を持つ因子はなにかという基本的な問題が未解決のままである。これまでに申請者は両方向性転換魚のオキナワベニハゼをモデルとして、性転換時に生殖腺で生殖腺刺激ホルモン受容体が素早く切り替わることを明らかにしてきた。本年度は、他の性転換魚であるカンモンハタの雌から雄への性転換にも生殖腺刺激ホルモン(GTH)が重要な働きを持つのかどうかについて調べ、以下の結果を得た。 1) 下垂体で産出されるGTHにはFSHとLHの二種類が存在する。FSH、LHに対する抗体を用いてカンモンハタ雌雄の下垂体固定サンプルを免疫染色した。その結果、雄ではFSH、LH反応が共に観察されたのに対し、雌ではLH反応は見られたもののFSHに対するシグナルは観察されなかった。 2) リアルタイムPCR法を用いて異なる性のステージにおけるFSH、LHの遺伝子発現量を測定した。その結果、LHの発現には性差が見られなかった。しかしFSHは性転換過程、雄において高い発現が観察された。特に生殖腺内で卵巣が壊れつつある性転換初期の個体において高い発現が見られた。 3) FSHの生殖腺に対する働きを調べるために、ウシFSH精製品をカンモンハタの雌にin vivo投与した。その結果、投与した個体において性転換が誘導された。 以上の結果から、カンモンハタの雌から雄への生殖腺の性転換にはGTHの内、FSHが引き金になることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)