2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05144
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中倉 敬 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 下垂体 / 視床下部-下垂体血管系 / Signal Sequence Trap法 / ラット / delta-like protenin 1(Dlk1) / 免疫組織化学的手法 / 発生過程 / 血管内皮増殖因子(VEGF-A) |
Research Abstract |
高等動物の内分泌系の中枢は,視床下部-下垂体系である。特に下垂体前葉の機能調節は視床下部-下垂体血管系によって視床下部ホルモンが輸送され,前葉ホルモン産生細胞に作用することで維持されている。我々はこれまでの研究で,血管内皮増殖因子(VEGF-A)が視床下部-下垂体血管系の形成に関与する可能性を示してきた。しかしながら,下垂体門脈の形成因子についてはいまだ不明である。このため,これまでに下垂体門脈形成因子の同定を目的として,下垂体門脈の形成時期であるラット胎齢13.5日下垂体で発現する分泌性タンパク質をSignal Sequence Trap法によって網羅的に解析し,delta-like protein 1(Dlk1)が下垂体で豊富に発現していることを明らかにした。このためさらに,免疫組織化学的手法により下垂体形成過程での発現細胞の同定を行った。その結果,Dlk1はNotch familyの機能を抑制的に調節することで下垂体形成や細胞分化を調節している可能性が本研究で初めて示され,これらの結果はすでに論文として発表している。しかしながら,Dlk1をはじめとした今回の網羅的解析で得られた因子には,下垂体門脈の形成に関与する可能性のある因子を得ることが出来なかった。したがって,今後は下垂体中葉が血管系に乏しいことなどに着目し,中葉を血管系形成モデルとしつつ門脈形成のメカニズムについて研究を進めていく必要がある。
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