2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンリガーゼFbw7の時空間特異的な基質分子制御機構の解明
Project/Area Number |
07J05589
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 義則 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質分解 / ユビキチン / 細胞周期 / がん / がん抑制遺伝子 / 表皮細胞 / 組織特異性 / コンディショナルノックアウトマウス |
Research Abstract |
ユビキチン-プロテアソーム系によるタンパク質分解機構は増殖、分化など種々の細胞機能を制御し、その破綻はがん、神経変性疾患を含む多くの病態の原因となる。Fbw7は、がん遺伝子産物を特異的にユビキチン化し分解を誘導することやヒト腫瘍で不活性型変異が高頻度に認められることから、がん抑制遺伝子であると考えられてきた。しかしながら、Fbw7の生理的な基質と機能、Fbw7の不活性化に伴う発がん機構についてはこれまで明らかにされていない。そこで本研究ではFbw7コンディショナルノックアウトマウスを用いて、Fbw7の生理的な基質分子の同定と機能解析を行った。 Fbw7の増殖と分化に果たす機能を明らかにするため、表皮細胞における解析を行った。Fbw7欠損表皮細胞では、胎仔線維芽細胞の場合と異なり、Notchに加えて、Mycの発現量が亢進し、Mycの発現量増加に依存して増殖が促進していた。また、分化の促進も認められ、これはMycとNotchの相加的効果に起因することが判明した。一方、がん遺伝子ras依存性の発がん実験から、Fbw7欠損細胞はin vitroでの増殖促進活性とは逆に、in vivoにおける腫瘍増殖能はNotchの機能亢進に依存して低下することが明らかになった。 以上より、Fbw7は表皮細胞においてMycおよびNotchの特異的分解を介し、増殖と分化を協調的に制御する腫瘍増殖促進因子であると考えられた。 胎仔線維芽細胞と表皮細胞という二種類の細胞種の解析からFbw7欠損時に蓄積する基質分子には細胞種特異性が存在し、また蓄積した分子の細胞種に応じた機能や蓄積する複数の基質の相互作用によってFbw7は細胞種・組織・分化段階特異的な機能を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)