2008 Fiscal Year Annual Research Report
ランタン添加セリウム六硼化物への希土類磁性イオン添加によるIV相秩序変数解明
Project/Area Number |
07J05839
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 晃弘 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 希土類化合物 / 多極子秩序 |
Research Abstract |
本年度は、Ce_xLa_<1-x>B_6のIV相の秩序変数に関する情報を得るため、昨年に引き続いてCe_<0.6>La_<0.4>B_6へのR(R=Nd,Pr)イオン添加効果を詳しく調べた。さらにCe_xLa_<1-x>B_6(x=0.5,0.45,0.4)へRイオンを添加した試料を作製し、極低温磁化測定、磁気抵抗測定および磁場中比熱測定を行った。その結果、以下に示すようにIV相秩序変数に関する重要な情報を得た。 1.x=0.7ではNd添加により基底状態がIV相からIII相に変化し、I-IV相転移温度(T_<I-IV>)は連続的にI-III相転移温度(T_N)へと繋がっていくが、x=0.6ではNdを6%添加すると基底状態であったIV相が突然消滅し、Ce_xNd_<1-x>B_6で見られるV相が新たに出現することがわかった。 2.0.6<x<0.7ではNd添加に対してT_<I-IV>はほとんど変化しないが、x=0.4ではNdを10%添加するとT_<I-IV>が0.55Kから1.1Kに大きく上昇することが明らかとなった。またx=0.5においてもNd10%添加でT_<I-IV>が0.7Kから1.2Kに大きく上昇することがわかった。 3.2.で述べたNd添加によるT_<I-IV>増大の起源がNdイオンの持つ八極子モーメントであるとすると、Prを添加した場合Prイオンが八極子の自由度を持たないためT_<I-IV>は増大しないはずである。このような観点からx=0.45へPrを10%添加したところ、Ndと同様にT_<I-IV>が0.65Kから1.4Kに大きく上昇することが明らかとなった。Nd、Pr共に添加によりT_<I-IV>を増大させることから、IV相は磁気的な相互作用により安定化するという重要な結果を得た。したがって、少なくともx<0.6ではIV相はT_β型の反強八極子秩序ではない可能性が出てきた。
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