2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J05914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉松 康裕 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Prox1 / VEGF-C / VEGFR3 / Ets-2 / TM-Ets1 / リンパ管 / 無菌性腹膜炎モデル |
Research Abstract |
リンパ管新生および分化におけるマスター転写因子であるProx1の機能を調節する因子としてEts family転写因子であるEts-2を同定した。Prox1によりはHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)においてリンパ管内皮特異的下流遺伝子VEGFR3(血管内皮増殖因子ファミリーの一種であるVEGF-Cの受容体)を誘導するが、Ets-2はVEGFR3の発現をさらに亢進させた。これらを裏付けるようにProx1およびEts-2を共発現させたHUVECにおいてVEGF-Cへの走化性が亢進した。In vivoにおけるリンパ管新生に対するEts-2の機能を解析するため、マウスの無菌性腹膜炎モデルを導入した。チオグリコレートをBalb/cマウスに腹腔内注射して炎症反応を起こさせ、その時に誘導されるリンパ管新生に対するEts-2の効果を検討するため、Ets-2(をコードする)アデノウィルスを腹腔内注射して検討した。Ets-2の比較対照としてDNA結合ドメイン領域のみを含むドミナントネガティブ変異体TM-Ets1を作製して用いた。チオグリコレートを2日おきに、アデノウィルスを4日おきに注射することを繰り返し、16日後にsacrificeした。横隔膜を取り出してリンパ管内皮特異的遺伝子であるLYVE-1に対する抗体で免疫染色し、リンパ管内皮の領域を比較した。LacZアデノウィルスを注射したコントロールに対して、Ets-2アデノウィルスではリンパ管新生が亢進しており、一方でTM-Ets1アデノウィルスではリンパ管新生が著しく抑制されていた。以上から、Ets-2にはリンパ管新生を亢進させる働きがあり、リンパ管新生の機能調節因子であることが示唆された。
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