2007 Fiscal Year Annual Research Report
イランにおけるジェンダーとイスラームの関係性をめぐる文化人類学的研究
Project/Area Number |
07J06321
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
稲山 円 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イラン / イスラーム / 文化人類学 / 宗教実践 / 女性 |
Research Abstract |
本研究は、イランにおける宗教実践を事例として、従来別々に議論されてきた言説レベルのジェンダーと経験的レベルのジェンダーの相互関係を検証し、イランにおけるイスラームとジェンダーの関係性を明らかにすることを目的とするものである。そのため、平成19年度はまず、経験的レベルのジェンダーを明らかにするため、イランの首都・テヘランにおいて6月下旬から約一ヶ月間のフィールドワークを実施した。 具体的には、イラン人の家庭に滞在し、日常生活を共にしながら、宗教実践の参与観察や女性たちに対するインタビューを試みた。滞在した家庭で開かれたソフレ集会(願掛けの成就を祝う女性のみが参加する集会)では、参加者の女性たちから、年齢、職業、教育程度、既婚・未婚の違い、子供の有無および数、配偶者の職業などに関して聞き取り調査を行った。このように女性たちの間での差異にも注目することは、ジェンダーを男女二項対立的にではなく多元的に捉えるために重要である。 また、テヘラン市内のイマーム・ザーデ(イランの国教である12イマーム・シーア派における聖者の霊廟)へ行き、参詣に訪れる女性たちのグループや家族連れ、また若い男女のカップルなどから、何のためにイマーム・ザーデを参詣するのかといった宗教実践の理由付けや、宗教実践に関する男女の行動規範に対する考えなどを中心に話しを聞いた。帰国後は、聞き取り調査の集計やICレコーダーに録音したインタビューの書き起こし、また写真や映像の整理など、フィールドワークの調査データの整理を行った。
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