2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の初期生残戦略におけるインスリン様シグナルの新しい意義
Project/Area Number |
07J06747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 元 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教
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Keywords | インスリン様シグナル / 初期生残率 / メダカ / 初代培養 / PI3-キナーゼ / Akt / ストレスタンパク質 / Foxo1 |
Research Abstract |
魚類の個体数はときに数百倍の規模で変動し、食料問題などを通じて人類の生活に大きな影響を及ぼす。魚類の個体数は初期生残率とよく相関するため、初期生残率を左右すると考えられる水温や捕食者密度などが様々な海域で測定されている。一方、稚仔魚のストレス耐性や成長速度も初期生残率に影響を及ぼすと考えられる。ストレス耐性や成長速度はインスリン様シグナル伝達経路で制御されることが複数の魚種で示されているが、魚類では本経路に関する知見が非常に少ない。そこで本研究では、プロテオミクス的手法を用いてインスリン様シグナル伝達経路の主要な構成因子を同定し、本経路とストレス耐性および成長速度との関連を明らかにすることを目的とする。 本年度は、メダカでインスリン様シグナルを解析する実験系を立ち上げた。まず、メダカ胚(受精後約5日)から繊維芽細胞を初代培養し、培養、継代および凍結などの基本操作を常法に従って行えることを確認した。 次に、この細胞から調製した細胞抽出液を用いて、哺乳類の市販抗体がメダカの相同分子を認識するかどうかを調べた。その結果、PI-3キナーゼp85サブユニット、Akt,pAkt substrateなどのインスリン様シグナル伝達経路の各分子、HSP60およびHSP70といったストレスタンパク質、さらにアクチンやEF-1αなどの内部標準タンパク質の抗体が使用可能であることが明らかとなった。また、ゲノムおよびESTデータベースを用いてキナーゼアッセイに用いる予定のAktおよびFoxo1をinsilicoクローニングした。今後はこれらのcDNAをクローニングし、発現系を構築する予定である。
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