2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J06769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
庄嶋 貴之 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンマレトロウイルス / ブタ内在性レトロウィルス / コアラ内在性レトロウイルス / 異種移植 / 受容体 |
Research Abstract |
ブタ内在性レトロウイルスサブタイプB(PERV-B)およびサブタイプC(PERV-C)の受容体同定を目的として、バキュロウイルスによるタンパク質発現系を用いて、PERV-BおよびPERV-Cのエンベロープ糖タンパク質の発現・精製を行った。これらの精製タンパク質に対して、高い結合親和性を示す細胞をフローサイトメトリーを用いた結合試験により明らかにし、293細胞とMV-1-Lu細胞を同定した。さらにこれらの細胞からcDNAライブラリーの作製を行った。上記は年次計画に基づいて遂行されており、本成果によりPERVの受容体の分離・同定が十分に期待される。一方で、国内の動物園コアラにおけるコアラ内在性レトロウイルス(KoRV)の汚染状況をPCRで評価するとともに、得られたKoRVのエンベロープ糖タンパク質の遺伝子をもとにLacZシュードウイルスを作製し、KoRVの宿主細胞域をLacZアッセイにより評価した。KoRVはマウス・ハムスターを除く多くの細胞株に感染が可能であり、細胞侵入の際に必要な受容体としてネコ白血病ウイルスサブタイプBやギボン猿白血病ウイルスと同様にPit1分子を利用することを明らかにした。また、既知のKoRVとは異なる受容体利用能を示す新しいサブタイプの分離・同定に成功し、この新規サブタイプの全長配列を明らかにし、感染性クローンを作製した。KoRVはPERVと非常に近縁であり、かつ、近年に未知の前宿主から種の壁を超えて感染し内在化の過程の途中にあるという特徴を持っため、KoRVの研究は、異種移植の際に問題となるPERVの制御を目的とする本課題において、内在化および種間伝播の機構解明や病原性の評価を行う上で非常に有用である。
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