2008 Fiscal Year Annual Research Report
古代イネDNA分析による栽培イネにおける人為選択標的遺伝子の進化的解析
Project/Area Number |
07J07627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊谷 真彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭化米 / DNA分析 / 葉緑体DNA / ジャポニカ / インディカ / 唐古鍵遺跡 / 陣ヶ峯遺跡 / 上東遺跡 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、陣が峰遺跡、唐古鍵遺跡から出土した炭化米についてジャポニカ、インディカを判別可能な葉緑体DNAマーカーサイトについてPCRダイレクトシークエンス法により配列決定しデータを蓄積することができた。さらに岡山県の上東遺跡(弥生時代)から出土した土器に付着した炭化物について葉緑体DNAの増幅に成功した。この試料は加熱調理された後に遺棄されたものと考えられている。これに伴い、現生コメ試料について土器を用いて調理したものからDNA抽出・PCRを行ったところ増幅に成功した。 今回の成果により加熱調理されてもDNAの残存が期待できることが示され、今後の遺物DNA分析の対象が広がった。また、古代試料からの結果からイネ栽培史についてより正確な多くの知見を得るために原生イネのリファレンスの拡充を図った。世界の在来栽培イネ120系統についてマーカーサイトについて配列決定を行った。これにより世界のほとんどの地域を網羅する栽培イネのデータを得ることができた。 植物遺存体の核DNAのPCR増幅は困難であり成功した先行研究は非常に少なく、我々のこれまでの取り組みにおいても成功していない。その原因はDNA自体の損傷に加え植物遺存体に含まれるポリフェノール類や腐食物質があると考えられる。これまでの古代DNA抽出法よりもこれらを効果的に除去できると考えられる糞便や土壌からのDNA抽出を行う複数のkitを用いたDNA抽出法の検討を行った。その結果、古代DNA分析において重要なコンタミネーションの起こりにくさ、収率等を基準としてkitを選定できた。次年度ではこの抽出方法を用いて核DNAのPCR増幅が期待される。
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