2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ非球面光学素子創成のための超精密切削工具の創成
Project/Area Number |
07J07757
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國枝 泰博 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイヤモンド研磨 / 超精密切削工具 / マイクロテクスチャ / スラリ塗布 / ナノ精度機械加工 / アルミニウム研磨板 |
Research Abstract |
現在,ダイヤモンドは,ダイヤモンドスラリを塗布した鋳鉄製の研磨板を回転させたものにダイヤモンドを押し付けて加工するものである.ここで研磨板として使われる鋳鉄は,存在する巣(炭素)が砥粒を保持する役割を果たしていると考えられている. 研磨プロセスを安定させるには分散させたスラリを定量的に塗布すること,研磨板の平面度,材質,研磨板の表面状態が重要となる.そこで,本研究ではまず外部混合過流方式のスプレを用いて噴射圧力,噴射時間を制御する方法を提案し確立した.次に,研磨板として鋳鉄以外の材質を検討した.その結果,ナノオーダの定切込み制御でダイヤモンドを研磨する場合,アルミニウムのような熱伝導率が良い材料を用いて研磨すると良好な加工面が得られることがわかった.これらの結果は,これまでのダイヤモンド研磨の常識を覆すもので非常に興味深い結果であった.また,アルミニウムはナノ精度切削加工によって平面度が得やすい特徴を有する材料で研磨プロセスのさらなる安定化に寄与できると考えられる.さらに,アルミニウムはその表面にナノ精度切削加工によって微細構造を周期的に加工したマイクロテクスチャを容易に加工でき,鋳鉄の巣の砥粒保持機能のような機能表面を人工的に得ることができる.今年度は,マイクロテクスチャとして1.4μmピッチのV溝構造をアルミニウム研磨板に同心円状に加工した.これは,加工したV溝に使用している砥粒径1μmの砥粒が保持されたときにその半分の0.5μmがV溝より突出す条件である.この研磨板を用いてダイヤモンドの研磨実験を行ったところ砥粒は表面に保持された状態で研磨できかつ良好な加工面が得られることがわかった.この結果は,従来使用していた自然に構築された鋳鉄の微細構造を人工的に創成したマイクロテクスチャに置き換えることで研磨板の状態制御が可能になることを示唆しており意義深い.
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