2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規幼若ホルモン特異的阻害剤の創製とそれらを利用した内分泌調節機構の解明
Project/Area Number |
07J07934
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古田 賢次郎 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幼若ホルモン(JH) / 抗JH活性物質 / LC-MS |
Research Abstract |
今年度はJH特異的阻害化合物であるKF-13をリード化合物として合成展開を行い、さらにLC-MSを用いて化合物処理による生体内のJHI濃度の変化を測定することで、in vivoにおける作用メカニズムを調べた。 具体的には、KF-13の構造を基にJHのエポキシド末端の類似構造およびJHとの関連が示唆されているレチノイン酸のアゴニストであるAm80の構造を導入することによって、濃度依存的に早熟変態を誘導するKF-38を見出すことができた。さらにKF-38の構造活性相関を調べたところ、レチノイン酸アナログと同様な相関が見られた。これはJHとレチノイン酸の関連という点において非常に興味深い。 またLC-MSによるJHの定量においては、さらなる測定条件の最適化を行った。溶出液に適度な濃度の酢酸ナトリウムを添加することにより、測定感度が5倍程度向上し、JH濃度がより低い時期の体液でも正確に定量することが可能になった。本定量法を用いてJH生合成器官であるアラタ体を除去したカイコやJH生合成阻害活性が報告されているKK-42処理したカイコのJHI濃度を測定したところ、コントロールと比較して有意なJHI濃度の低下が見られ、JH濃度の低下と早熟変態との関連が明らかとなった。さらにKF-13を処理するとS体では同様にJH濃度の低下が見られたのに対し、R体では3齢処理直後はJHが低下したが、4齢脱皮後は通常の濃度に回復した。このことによりKF-13のS体がJHIの生合成を阻害している可能性が示唆された。
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