2007 Fiscal Year Annual Research Report
先進民主主義国における政軍関係。安全保障と民主主義の両立をめぐる理論と比較研究
Project/Area Number |
07J08030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 瑠麗 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際政治 / 安全保障 / 政軍関係 / 民主主義国の戦争 / シビリアンコントロール |
Research Abstract |
平成19年度には、英米に渡航して資料調査に当たったほか、研究テーマを論文の核となるテーマの設定にまで具体化し、「先進民主主義国における政軍関係」の理論の構築と各国の事例の比較という大枠のテーマから、さらに戦争と政軍関係との関係に視点を絞り込んだ。 先行研究では、シビリアンが軍をコントロールするという民主主義に限らず職業軍人化された軍の存在する国一般に必要とされる、シビリアンコントロール概念と安全保障の確保の二つの柱を中心としてきた。だが、この枠組みはクーデターの脅威がもはやなくなった先進民主主義国に適切であるとはいえない。 本研究では、シビリアンが進んで戦争に突入するという現象が多く観察しうることに着目し、また軍人がそのシビリアンの戦争に反対するという、古典的政軍関係から見れば倒錯的な現象もまた存在することを明らかにし、政軍関係の根幹であるとされてきたシビリアンコントロールだけでは戦争を防ぎえないばかりか、時に不必要な戦争の開始をかえって促進する恐れがあることを明らかにするという点で画期的である。 本テーマは目下執筆中の博士論文のテーマであるところ、研究発表はその完成を待つが、平成20年中に執筆完成予定でその翌年ごろ出版予定の共著、石津朋之ほか『戦略原論』の「政軍関係」の章のなかで、これまでの研究を踏まえて、このパラダイムシフトについても入れ込む予定である。 また、テーマとしてはこの研究課題の前段階たる修士論文の内容について、学術誌に投稿予定である。 他の成果発表としては、上記の研究関心に基づいてアメリカの新軍事中心主義に関するBacevichの書評を執筆掲載した。また帝国撤退論に関するSpruytの書評が印刷中であるほか、おなじく帝国撤退の文脈でイギリスの1960年代の軍事政策に関する論文を執筆、投稿予定のほか、同じテーマにもとづきアメリカの次期政権の政策を見据えた政策提言兼研究発表を韓国の国際学会において口頭で行った。
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Research Products
(1 results)