2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒を用いる不飽和化合物のカルボシアノ化反応の開発とその応用
Project/Area Number |
07J08803
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 泰啓 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ニトリル / カルボシアノ化反応 / 遷移金属触媒 / アルキン / ルイス酸 |
Research Abstract |
(1)二座配位可能なニトリルを用いたアルキンのカルボシアノ化反応 シアン化アリルや、シアン化ベンジルのニッケルへの酸化的付加は、シアン化アリールに比べきわめて容易に進行する。反応が成功した鍵として、シアノ基とアルケニル基を介してニッケルへ二座配位できること、また生じた酸化的付加体がπ-アリルニッケルあるいはπ-ベンジルニッケル構造になって安定化される二つの要因が大きいと考えられる。そこで、アルキンのカルボシアノ化反応に利用できるニトリルの適用範囲拡大をめざし、同様の効果が期待できるα-シアノカルボニル化合物、シアン化プロパルギル、マロンジニトリルを用いるアルキンのカルボシアノ化反応について、ニッケルと様々なリン、窒素、カルベン配位子、およびルイス酸の組み合わせを検討したが、現在のところ目的を達成できていない。今後9,10族遷移金属錯体を中心に他の遷移金属触媒を検討する予定である。 (2)アルキンのシアノエステル化およびシアノカルバモイル化反応 シアノ蟻酸エステルと1,2-ジエンをニッケル触媒存在下反応させると、シアノ基とアルコキシカルボニル基を位置および立体選択的に付加させて、様々なα-シアノアルキルアクリル酸エステルを簡単に合成できることをすでに見つけているが、この反応条件はアルキンへの付加反応には適用できなかった。ニッケル/ルイス酸触媒を併用することによってアルキンに対しても収率良く反応が進行することを見つけた。このシアノエステル化体の二重結合を還元するとγ-アミノ酸の前駆体であるβ-シアノエステルに変換できる。これを利用して、抗てんかん薬として利用されているGABA誘導体Pregabalinの形式合成に応用することにも成功した。また、同様のニッケル/ルイス酸触媒を適用すると、シアン化カルバモイルのアルキンへの付加反応が収率よく進行することも見つけた。
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