2009 Fiscal Year Annual Research Report
光受容蛋白質の機能多様性とそれを生み出す分子特性の分子生理学・生化学的解析
Project/Area Number |
07J09175
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塚本 寿夫 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光受容タンパク質 / ロドプシン / Gタンパク質 / 構造変化 / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究課題では、動物の視覚などを担う「普通」のロドプシンおよびその類似タンパク質(以下ロドプシン類と呼ぶ)とは正反対の全トランス型から11シス型への発色団レチナールの異性化反応を起こすロドプシン類であるペロプシンやレチノクロムが機能発現する際に必要な分子メカニズムが、「普通」のロドプシンとどのように異なるのか(似ているのか)を明らかにすることを目指して、研究を行っている。 前年度までの研究から、通常のロドプシン類を調製する条件(界面活性剤で可溶化)では、ペロプシン・レチノクロムの性質が大きく変化してしまうことが明らかになっていた。また前年度までにグリセリンを添加することにより界面活性剤の影響を緩和できることもわかっていた。そこで今年度は、主にレチノクロムを用いて、グリセリンを添加した試料あるいは、脂質存在下で界面活性剤を除去し、脂質小胞(リポソーム)に再構成した試料を用いて、機能発現メカニズムを解析した。 「普通」のロドプシン類を用いた実験では、6番目の膜貫通ヘリックスの特定の部位に蛍光プローブを導入し、その蛍光特性を光受容(レチナールの光異性化)前後で測定することにより、それらの機能発現メカニズムを解析することができる。そこで、レチノクロムについて6番目の膜貫通ヘリックスの同じ位置に蛍光プローブを導入したタンパク質を調製し、それらの蛍光特性をグリセリン添加条件、リポソーム再構成条件の2つの条件で測定した。その結果、レチノクロムでは「普通」のロドプシン類が光を受容する際に見られるような蛍光特性の変化が見られなかった。この結果は、少なくともレチノクロムが光を受容する際には、「普通」のロドプシン類とは異なるメカニズムで機能が発現することを示唆している。
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