2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノグラニュラー薄膜組織へのイオン照射効果:電子線トモグラフィーによる3次元解析
Project/Area Number |
07J09834
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白井 学 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / イオン照射 / ナノグラニュラー薄膜 |
Research Abstract |
イオン照射は弾性的なはじき出しおよび電子励起を生じながら、局所的、選択的にエネルギーを与えることができる。そのためイオン照射はナノ材料の制御方法としての利用が期待できる。本研究では次世代の高密度磁気記録媒体として期待されているFePtナノグラニュラー薄膜にイオン照射を行い、照射による構造制御の可能性および構造変化のメカニズムを探ることを目的としている。研究手法としては主に透過型電子顕微鏡を用いた観察を行い、通常の2次元的な観察に加え電子線トモグラフィーを用いてナノ粒子の3次元形態や分散状態の解析を行っている。 本年度は日本原子力研究開発機構のタンデム加速により高速重イオン照射を行い、照射によるナノ粒子の3次元形状の変化を観察した。FePtナノグラニュラー薄膜に210MeV Xeイオンを10^<16>〜10^<19>ios/m^2の範囲で照射することによってナノ粒子変形の照射量依存性を明らかにした。10^<18>ions/m^2までの照射量では粒径が徐々に増加するのみであったが、照射量が10^<18>ions/m^2を超えると粒子は劇的に変化し、粒径が大きく異なる2種類の粒子が観察された。電子線トモグラフィー観察により、大きな粒子は薄膜表面にほぼ球形のまま存在し、小さな粒子はイオン照射方向である膜厚方向へと大きく伸びた形状へと変化していることが明らかとなった。また、ドイツ・ハーンマイトナー研究所に滞在し、イオン照射による粒子変形について解析を行った。その結果、粒子変形の要因としてイオンの軌跡に沿った局所的な温度上昇によって応力が生じるイオンハンマリング効果の可能性が見出された。
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