2008 Fiscal Year Annual Research Report
グラニュラー薄膜組織へのイオン照射効果:電子線トモグラフィーによる3次元解析
Project/Area Number |
07J09834
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白井 学 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / ナノグラニュラー薄膜 / イオン照射 |
Research Abstract |
イオン照射は弾性的なはじき出しおよび電子励起を引き起こし、材料に局所的あるいは選択的にエネルギーを与えることができる。そのためイオン照射はナノ構造制御方法としての利用が期待できる。本研究では、アモルファスAl_2O_3母相にFePtナノ粒子が分散した構造であるFePtナノグラニュラー薄膜の構造制御方法としてイオン照射の可能性について検討を進めている。研究手法としては、日本原子力研究開発機構に設置されているタンデム型加速器を用いてイオン照射を行い、電子線トモグラフィー法やSTEM-EDXなどの電子顕微鏡法によりイオン照射によるナノ粒子の3次元形態や元素の分布状態の変化を詳細に調べている。 FePtナノグラニュラー薄膜に対して210MeV Xeイオンを5×10^<18>ions/m^2まで照射すると、FePt粒子の形状が変化し、粒径の異なる2種類の粒子が観察された。電子線トモグラフィー観察により比較的粒径が大きな粒子は表面付近でほぼ球形のまま粗大化した粒子であり、粒径が小さな粒子はイオン入射方向へ伸びたロット状の粒子であることが明らかとなった。また、この試料に対してEDXによる元素分布の評価を行った結果、照射量が5×10^<18>ions/m^2までの試料ではFePt粒子中のFeとPtの組成はほぼ1対1であり、FePt粒子はイオン照射前の組成を保ったまま形状が変化していることが分かった。しかし、照射量が1×10^<19>ions/m^2を超えたとき薄膜中の元素分布状態が変化し、Fe原子が粒子中心付近で減少し、粒子周辺部に多く存在していることが分かった。このように高速重イオン照射によりナノ粒子の形状だけなく、合金の組成も変化することが明らかとなった。
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