2007 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン生合成を司るACC合成酵素のリン酸化による制御機構に関する研究
Project/Area Number |
07J10368
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上吉原 裕亮 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エチレン / ACC合成酵素 / 翻訳後制御 / リン酸化 / 果実成熟 |
Research Abstract |
植物ホルモンの一つであるエチレンは、高等植物の一生を通し、生長・分化の調節および外的刺激に対する防御応答において重要な役割を果たしている。特に、エチレンは果実の成熟や花卉・〓菜の老化を促進する作用を持つため、本研究内容は実用面においても極めて重要な課題である。 申請者は、エチレン生合成の律速酵素であるACC合成酵素のリン酸化による翻訳後制御機構の解明を目的とし、成熟中のトマト果実において強く発現するACC合成酵素アイソザイム(LeACS2)をモデルとして解析を行ってきた。ACC合成酵素は翻訳後にリン酸化され安定型となり、脱リン酸化によって不安定型となり分解へと導かれる。当該年度、申請者は、ACC合成酵素が翻訳後直ちにリン酸化され、ほぼすべてのACC合成酵素分子がリン酸化型として存在していることを明らかにした。このことはACC合成酵素の翻訳後制御の律速段階が脱リン酸化段階であることを意味している。したがって、現在は脱リン酸化を担うプロテインホスファターゼの同定に取り組んでいる。一方、ACC合成酵素をリン酸化するプロテインキナーゼとして、これまでにカルシウム依存的プロテインキナーゼ(CDPK)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)がそれぞれ独立に同定されていた。当該年度は、トマト果実内においてACC合成酵素が両者によって同時にリン酸化されることを明らかにした。ACC合成酵素の安定性の制御における両者の機能分担について興味が持たれる。 ACC合成酵素のリン酸化による翻訳後制御機構を解明し、エチレン生合成調節機構の全体像を明らかにすることにより、果実、花卉および〓菜の貯蔵法を改良していくことが可能であると考えられる。
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Research Products
(3 results)