2007 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの潜在的骨形成促進能を利用した骨再生担体の開発
Project/Area Number |
07J11269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本田 義知 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 再生医療 / バイオマテリアル / リン酸カルシウム / リン酸オクタカルシウム / 骨補填材 / 有機無機複合体 |
Research Abstract |
申請者らはこれまで、リン酸オクタカルシウム(OCP)とブタ皮膚由来1型コラーゲン(Col)の複合担体(OCP/Col)が優れた骨再生材料となり得る知見を得て来た。また、マクロファージ(Mφ)が試適濃度の細胞外カルシウム(Ca)によって、骨形成因子として知られるbone morphogenic protein-2(BMP-2)の発現、分泌を促進するという知見を得た。これは、主に材料吸収性に着目されていたMφが、局所Caの濃度を調節する事でBMP-2の供給源として積極的に骨形成に参加させうる可能性を示唆している。そこで本研究は、局所Caの濃度調節を可能にするリン酸カルシウム系骨再生担体を開発し、担体周囲に存在するマクロファージの潜在的骨形成能を賦活化することで、既存の骨再生担体を超える新規骨再生材料の開発を目的している。本年度は、申請書の研究実地計画におけるOCP-DCPD/Colの作成・材料学的評価と、骨形成能の評価を行った。局所Ca濃度の制御は、適度な生体内溶解性を示すDicalcium phosphate dihydrate(DCPD)をOCP/Col複合体に混合する事で調節した。申請書に記載した、OCP-DCPD/Colを作成し、ラット頭蓋冠骨欠損モデルに埋入後、骨形成を評価した所、OCP/Colに比べ骨形成の減少が認められた。これらの結果は、OCP-DCPD/Colの複合方法に改善の余地が残されている事を示す。そのため、原因の解明を目的として、1)DCPD/Col(申請書におけるOCP-DCPD/Colの混合比(0:10:3)に当る)の擬似体液中の挙動の解明。2)DCPDの最適な細胞親和性をもたらす複合化条件の探索(DCPD上でのMφの培養実験)を行った。その結果、 DCPD/Colは擬似体液に浸漬時、Col表層へのbone like apatiteの顕著な析出を認めた。これは、DCPDはColに被覆されても、CaをCol表層まで溶出している事を示す。一方、細胞親和性の実験においては、DCPD単体では溶解性が強く培地のPHの低下を招くことでMφに対して細胞毒性に働いた。しかしながら、DCPDを培地に12時間前培養する事で、急激な溶解を阻害し、細胞生存率の上昇が認められる事を明らかにした。以上の結果を踏まえた、新たなOCP-DCPD/Col合成法を用いて、現在実験を続行中である。
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Research Products
(1 results)