2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世和泉国における「かわた」村の村落構造に関する研究
Project/Area Number |
07J11943
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三田 智子 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | かわた / 身分集団 / 和泉 / 南王子村 / 村落構造 / 差別 |
Research Abstract |
本研究は、これまで差別などの身分に関わる側面について研究されることの多かった「かわた」(穢多)身分を、その存在形態から捉え直すことを目的としている。これは近年の集団論を中心とする近世身分制研究に、「かわた」身分を位置づけようとする試みでもある。分析に際して注目されることは、畿内では「かわた」村という存在形態をり、集団構造と村落構造がほぼ一致しながら展開することである。この点をふまえながら南王子村を事例に村落構造と、地域社会との諸関係についても検討し、畿内のかわた村とも比較していくことを目指している。 今年度は研究計画として、1先行身分制研究の整理、2当該地域における中近世移行期の空間構造の復元、318世紀中期以降の村内における諸要素の摘出、4南王子村と地域社会の検討を設定したので、以下順にその概要を述べる。 1については順次おこなっており、博士論文執筆に生かす予定である。2についてはほぼ復元を完了し、現在本格的に論文化中である。その概要については昨年度、論文として発表している。3については、特にかわたの身分に関わる草場のあり方と、村内の草場に関わる仲間について整理を行い口頭報告をおこなった。次年度に論文化する予定である。また昨年度おこなった18世紀中後期における村落構造の変化についての分析は、論文として発表した。4に関しては、19世紀初頭の信太郷七ヶ村と南王子村の山をめぐる争論を分析した。これについても今年度論文化する予定である。
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