1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041023
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
砂野 幸稔 熊本県立大学, 文学部, 助教授 (60187797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DIOUF JeanーL セネガル国立ダカール大学, 応用言語学研究所, 助教授
梶 茂樹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10134751)
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Keywords | ウォロフ語 / 識字 / 言語政策 / セネガル / 国語 / 多言語状況 |
Research Abstract |
セネガル政府は、1971年、ウォロフ、フルフルデ、セレール、マンディンカ、ジョラ、ソニンケの6言語を「国語」として指定し、国民教育省内に「識字局」を設置した。1981年、「教育国民会議」においてフランス語教育の抱える問題が指摘され、「国語」の教育への導入が討議され始めると、政府は「教育・国語審議会」を設置し同審議会は1984年、ウォロフ語を統一公用語とし、他の「国語」も地域共通語として教育に導入すべきとの答申を出している。しかし、その後いくつかの小学校でウォロフ語等の実験クラスが設置されたが継続されず、答申は結局政策としては実施されなかった。1993年、再び「教育国民会議」が開かれ、教育への「国語」の導入、「国語」による識字拡大の方針が示された。公教育への「国語」の導入についてはいまだ実施されていないが、識字については政府は大きな方針転換を行い、1991年に昇格した「基礎教育・識字省」は、現在直接の識字活動からは撤退し、各種NGOにその実施を任せる「放任」政策を取っている。1994年のCFAフランの切り下げの影響もあって、カナダ等の外国政府の資金援助、外国NGO資金の流入が増大し、NGOによる識字、出版活動が過去数年で急速に増大している。そのなかで注目すべきことの一つは、ウォロフ語以外の「国語」の識字活動を行うNGOのなかに一種の言語ナショナリズムの芽生えが感じられることであり、これについてはさらに調査を深める必要がある。他方、識字NGOの相互の調整の不十分さは「標準語」の未確立の問題として現れている。「ウォロフ化」の進行については現在調査結果を分析中であるが、少なくともダカ-ルにおいては、ウォロフ語が他言語を併呑してゆく傾向が現在も進行中であることが顕著に認められる。アラビア文字による「国語」の文字化については来年度以降の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 砂野幸稔: "セネガルにおけるウォロフ語使用" http : // www. aa. tufs. ac. jp / AFLANG / TEXTS / june96 /. ***. *** (1996)
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[Publications] 砂野幸稔: "セネガルにおけるフランス語使用(*発表予定)" 平成7年度熊本県立大学地域貢献研究事業研究成果概要. No.2. *** (1997)