1996 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジアにおける青銅器の変遷に関する考古学的・自然科学的研究
Project/Area Number |
08041035
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学部化学研究室, 室長 (40082812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 増林 社会科学院, 考古研究所(中国), 副研究員
呉 加安 社会科学院, 考古研究所(中国), 研究員
鄭 光貴 社会科学院, 考古研究所(中国), 研究員
金 正燿 社会科学院, 世界宗教研究所(中国), 助教授
CHASE Tom Smithsonian Inst. Freer Gallery of Art保存科, 部長
井上 洋一 東京国立博物館, 学芸部考古課先史室, 室長 (60176451)
高浜 秀 東京国立博物館, 学芸部東洋課中国考古室, 室長 (60000353)
早川 泰弘 東京国立文化財研究所, 保存科学部化学研究室, 研究員 (20290869)
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Keywords | 青銅器 / 鉛同位体比 / 周商青銅器 / 二里頭遺跡 |
Research Abstract |
題目:古代東アジアにおける青銅器の変遷に関する考古学的・自然科学的研究 古代東アジアにおける銅製品の歴史的な変遷を理解するために資料の考古学的な方法論に加えて、銅材料の科学組成および鉛同位体比法という自然科学的な方法を利用した。古代東アジアの中で銅の利用は中国が最も早く重要である。本方法を古代中国文明の中で利用された各種青銅器に応用し、考古学的な編年と組み合わせて、中国の古代文明における社会構造や交流などの具体的な内容を理解しようとした。 今年度は中国の歴史に表われた最も古い王朝である商時代(BC10〜18C)および夏王朝と推定されている二里頭遺跡(BC15〜20C)から出土した青銅器約70点の鉛同位体比および幾つかの資料に関して科学組成を測定できた。これらの遺跡は中国の中でも最も重要とされており、70点もの資料が提供され、鉛同位体比および化学組成の測定を進められたことは画期的なことである。これらの結果から、二里頭遺跡では近隣の材料を利用してはいるが、文化的な時代の違いが原料鉛の同位体比にも反映していることが分かった。 中国から研究者を招へいし、金属に関する相互の理解および測定に関する討議を進めることができたことは今後の共同研究に有意義であった。今後長期にわたり中国側研究者を招へいし、共同研究する素地ができた。日本の研究者が中国二里頭遺跡を訪問し、出土遺物を調査できた。中国では一般的に出土遺物を外部には見せない習慣があるにも関わらず、土器・青銅器などを率直に提供し、調査させてくれた。土器と青銅器の変遷の関連性は日本でも見られることであり、今後の研究に参考となった。
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