1996 Fiscal Year Annual Research Report
開発言説と農村開発:スリランカ,インドネシア,タイの事例研究
Project/Area Number |
08041042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 明 北海道大学, 文学部, 助教授 (90212513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KASTURIARATC エヌ ペラデニア大学, 医学部, 助教授
桜井 義秀 北海道大学, 文学部, 助教授 (50196135)
阿部 健一 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助手 (80222644)
佐藤 寛 アジア経済研究所, 経済協力調査室, 研究員
冨山 一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50192662)
花田 昌宜 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
加藤 剛 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60127066)
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Keywords | 開発言説 / 農村開発 / 開発 |
Research Abstract |
本研究は、スリランカ、インドネシア、タイにおける農村開発計画を比較検討し、その「開発現象」の実態を解明するものである。今年度は、各国で進行中の政府系・非政府系開発プロジェクトの概要を把握し、来年度に向けた調査対象を明確化するとともに、主要なプロジェクトおよびそれに関わる開発援助機関の「基礎的資料」(開発計画概要、組織形態、実施状況など)を収集した。各国ごとの調査対象の内訳は次の通りである。スリランカでは、マハヴェリ河開発計画、総合的農村開発計画(IRDP)、新保健計画、サルヴォダヤ運動。インドネシアでは、バタム島・ビンタン島開発計画、東インドネシア小規模潅漑計画、スマラン母子保健計画、泥炭湿地開発計画、国際協力事業団インドネシア事務所、CAREインドネシア事務所、日本工営ジャカルタ事務所など。タイでは、東北タイの開発層・地域NGOsなどである。 これらの予備的調査をとおして明確になってきたことは、個々の開発計画の性格を超えて、それぞれの国の開発計画は、それらの計画が置かれた政治的文脈と開発言説に大きく左右されているという点である。例えばスリランカでは、独立以前から平等性と公正な分配が政治文化となってきており、資本主義的な開発計画はしばしば批判・抵抗の対象となる。これに対して、開発独裁下のインドネシアでは、そのような抵抗は少なくとも表面化しにくい。またジャワ農村などでは、開発とは電気・水道の完備と明確に語られているが、スリランカやタイではより抽象的な「よりよい社会」が開発の目標としてとらえられている。 もちろん、これらの知見は断片的なものであり、再検討を必要とする。そのため平成9年度の調査において、より詳細にかつ総合的にこれらの開発言説と開発実践の比較研究を行い、これらの開発現象の把握につとめたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 足立明: "開発-語りと実践" 総合的地域研究. 4・3. 53-55 (1997)
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[Publications] 阿部健一: "熱帯多雨林から地域研究へ" 総合的地域研究. 4・1. 8-9 (1996)
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[Publications] Abe,Kenichi: "Cari rezeki,Numpang,Siap : The Reclamation Process of Pestswanp Forest in Riau" 東南アジア研究. 34・4. 622-632 (1997)
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[Publications] 冨山,一郎: "沖縄とインドネシアをつなぐもの" 大航海. 15. 89-93 (1997)
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[Publications] 足立明(分担執筆): "紛争と運動" 岩波書店, 339 (1997)
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[Publications] 阿部健一(分担執筆): "森と人との対話" 人文書院, 291 (1996)
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[Publications] 佐藤寛(編著): "援助研究入門" アジア経済研究所, 274 (1996)
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[Publications] 冨山一郎(分担執筆): "ナショナリティーの脱構築" 柏書房, 302 (1996)