1997 Fiscal Year Annual Research Report
日韓の森林関連産業に環境問題が与えた影響の比較分析
Project/Area Number |
08041048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 伸幸 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (90284025)
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (30211692)
安村 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70280948)
立花 敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50282695)
井上 真 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10232555)
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Keywords | 立木伐採権 / 原木の低質化 / 製品差別化 / 長伐期化 / 集成材 / 非林産物 / 通貨危機 / 森林火災 |
Research Abstract |
(1)カナダ調査:環境を配慮した政策は、総量には影響していないが、質の悪化を招いており、日本工業規格に合わない原木が増えている。カナダでは非良質材への需要シフトが起きており、日本市場でも然るべき対応が必要であろう。BC州の森林の96%を占める州有林の8割以上が経済林であり、伐採時に徴収される立木代金が州の重要な財源となっている。95年の森林施業法施行により水辺の保全や道路作設制限、成林義務が生じ、収穫地の奥地化と素材生産費の高騰により企業の収益性は大きく低下した。今後の木材生産の落ち込みが予測されている。 (2)日本調査:西川林業地・吉野林業地・北山林業地の林業経営者や森林組合等へ聞き取りを行った。これらの著名な林業地でも従来の林業経営が難しくなり、磨き丸太のような製品差別化や長伐期化の傾向にある。 (3)韓国調査:林業協同組合は森林所有者の支援にその主目的を変化させた。政府は間伐に約6割の補助金を出し、資源の有効利用と公益的機能の増進を進めている。また補助事業により同郷同組合は林産物総合流通センターを設立し間伐木の集荷・加工を始めている。一方で、森林伐採や特に林道作設へのマスコミの反発が強い。白雲山地域では、高収益を挙げるカエデの樹液や栗・梅等、木材以外の林産物生産が盛んであった。智異山国立公園においては、食用の為のドングリ拾い等があり、林産物と市民の関係が我が国に比して密接であった。 (4)インドネシア調査:合板生産・輸出に重要な役割を演じてきたAPKINDOの影響力が低下してきた。通貨危機を一つの背景として、IMFからの支援の条件としてAPKINDOの独占が解消され、丸太輸出が開始される可能性がある。また、調査時期が雨期だったにも関わらず森林火災が続いており、調査した東カリマンタンの地域住民にも少なからぬ影響が出ていた。
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[Publications] Hirofumi Kuboyama: "Suitability of Long Rotations in Snow Risk Areas" Journal of Forest Planning. Vol. 3. 99-106 (1997)
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[Publications] 山本 伸幸: "農山村SAMの展開-環境セクター・公共セクターへの拡張の可能性-" 日本地域学会年次大会論稿集. 233-240 (1997)
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[Publications] 井上 真: "「インドネシア」『アジア環境白書1997/98』" 東洋経済新報社, 183-212 (381) (1997)
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[Publications] 立花 敏: "「地域的に不釣合いな木材の生産と消費」『アジア環境白書1997/98』" 東洋経済新報社, 292-295 (381) (1997)