1996 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会の安全保持媒体としての交番制度の国際比較研究
Project/Area Number |
08041073
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
西村 春夫 国士館大学, 法学部, 教授 (60228228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神例 康博 松山大学, 法学部, 専任講師 (40289335)
樫村 志郎 神戸大学, 法学部, 教授 (40114433)
守山 正 拓殖大学, 政経学部, 助教授 (90191056)
小林 寿一 科学警察研究所, 防犯少年部, 主任研究官
鈴木 真吾 愛知文教女子短期大学, 幼児教育学科, 教授
瀬川 晃 同志社大学, 法学部, 教授 (00104604)
宮沢 節生 神戸大学, 法学部, 教授
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Keywords | 交番 / 地域安全活動 / コミュニティ・ポリシング / 近隣監視 |
Research Abstract |
(1)調査の構成メンバーによる会合においては、欧米におけるコミュニティ・ポリシング(地域安全活動)の状況の把握が重要であるとして、代表的なアメリカとイギリスにおける理論と現状を資料等において調査した。その結果、とりわけ近年、財産犯の激増に伴い、地域居住地区の安全に対する意識はきわめて高まっており、日本型の交番制度がかなり導入されていることが分かった。今後、警察庁の地域課とも連携をとって、情報の収集に努め、各地の交番の需要度やその社会的基盤を研究する必要がある。 (2)イギリスで実施された予備調査の結果 a.デヴォン・コンウォール警察における調査 この地区の丘陵地帯の一角に交番と同様の警察官詰所があり、一人の警察官が勤務し、住民のニーズに対応している。基本的にはインフォーマルにもめ事を処理する場合が多く、家庭内暴力などがケースとして最も多い。ただ、勤務状況は必すしも適正ではなく、人材が不足がちで、また情報が中央集中化しており、本部と交番との間に十分な意思の疎通が見られない。 b.レスターシャー警察における調査 この地区は、人種混合の著しく、警察の対応がより困難なところであるが、それだけに警察官と住民の良好な関係維持が課題となっている。交番類似の住宅兼警察署がみられたが、同担当地区は、白人の居住する地区で、近隣監視運動も進んでいるところであり、今後は人種混合地区での交番活動が小能かが注目される。 (3)全体的に、交番に類似する制度を有する国・地域は多いが、それを支える社会文化基盤は著しく異なっており、それに依拠して警察官と住民の関係も複雑である。それらの事項を重点的に、今後の実態調査で明らかにする必要がある。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 西村春夫: "警察の新しい文化としての地域安全警察" JCCD. 76号. (1997)
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[Publications] 樫村志郎: "裁判外紛争における弁護士の関与" 法社会学. 49号. 52-62 (1997)
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[Publications] 神例康博: "企業の刑事責任に関する法理について" 刑法雑誌. 36巻2号. 294- (1997)
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[Publications] 鈴木真吾: "自己申告法による中学・高校生の逸脱行動の広がりとその背景要因に関する研究" 科学警察研究所報告防犯少年編. 37巻2号. 39- (1996)
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[Publications] 小林寿一: "侵入盗被害者の不適応に関する研究" 科学警察研究所報告防犯少年編. 37巻1号. 20- (1996)
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[Publications] 小林寿一: "犯罪・非行の原因としての幼児虐待" 犯罪と非行. 109号. 129- (1996)
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[Publications] 小林寿一: "警察の巡回連絡が地域住民の治安意識に及ぼす影響" 犯罪社会学研究. 21巻. 117- (1996)
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[Publications] 西村春夫: "(共著)住民主体の犯罪統制" 多賀出版, 377 (1997)
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[Publications] 神例康博: "(共著)現代刑事法入門" 東京法令出版, 186 (1997)
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[Publications] 守山正: "(共著)新刑事政策" 日本評論社, 387 (1997)