1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041074
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石川 晃弘 中央大学, 文学部, 教授 (80055178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FALTAN Lubom スロバキア科学アカデミー社会学研究所, 所長
細井 洋子 東洋大学, 社会学部, 教授 (80073633)
山村 理人 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60201844)
園田 茂人 中央大学, 文学部, 教授 (10206683)
川崎 嘉元 中央大学, 文学部, 教授 (90055228)
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Keywords | 脱社会主義 / 体制転換 / ローカル・イニシアティブ / 地域社会変動 / 地域社会統合 / スロバキア |
Research Abstract |
平成9年度の調査研究は中部スロバキアの二つの町(ブレズノとバンスカ-・シチアブニッツァ)の事例観察を中心とし、現地キイパーソンの面接聴取調査と、住民のアンケート調査とを実施した。 面接聴取調査は政治・行政、企業・雇用、福祉・社会病理、農業・農村、文化・生活の5分野に分かれ、それぞれの分野のキイ・パーソンと関連機関を訪れて情報収集を行ない、91年に同地域で得た調査データと比較しながら、脱社会主義過程の変化を追った。すなわち、(1)政治的には脱政党化が進むとともに住民の政治的アパシーが拡大している一方で、行政の効率化が進んだ、(2)旧国営企業の民営化が完了し企業組織は大幅に変革され事業活動も安定化してきた、(3)群生した個人企業の淘汰が進み、残った企業は一定の安定を呈している、(4)雇用情勢は改善されてきているが、一部に失業の長期化(とくにジプシー)がみられる、(6)個人生活は安定性を取り戻し、社会解体は食い止められたかにみえるが、住民の生活態度は私生活主義化し、協同化、共同化の契機はほとんどみられず、草の根レベルの自発的結社はきわめて乏しい、(8)それを反映して地域文化活動も衰退気味である。要するに、社会主義崩壊後の地域レベルにおける社会再統合は、住民自身の協同的イニシアテイブによるよりもむしろ、原子化した生活行動が拡散し、それらがばらばらに行政と繋がるという形態をとっている。この事実関係をさらに正確に確かめ、それに基づいて脱社会主義と市民社会モデルの質を問うことが、次年度作業の中心をなす。 住民アンケート調査に関しては二つの町からそれぞれ300人のサンプルを抽出して回答を得たが、平成9年度は自由回答のコード化と質的データの数量化の作業で終わり、データ分析とその解釈は次年度に持ち越される。
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