1996 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける多国籍企業と共生的経済発展システムの構図
Project/Area Number |
08041081
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Research Institution | KYUSHU SANGYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 盤男 九州産業大学, 経済学部, 教授 (30131733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 康夫 九州共立大学, 経済学部, 講師 (30268784)
木元 富夫 九州産業大学, 経営学部, 教授 (30153224)
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Keywords | 共生的経済発展 / 多国籍企業 / 直接投資 / 輸出指向工業化 / 投資優遇税制 / インフラ整備 / 地域統括センター / 地域内生産分業 |
Research Abstract |
当研究は、多国籍企業を媒介とし、アジア地域での共生的経済発展を可能とするトライアングル的経済協力システムのデザインを目的としている。先進国の日本、中進国のシンガポール、開発途上国のインドを対象に、日系多国籍企業のシンガポールとインドへの直接投資を事例に、外国投資政策や投資環境と多国籍企業の経営戦略や企業形態を調査し、アジア地域での多層的相互協力システムを形成する要件を解明しようとした。そこで、日系企業の聞取り調査と資料の分析から、次のことが明らかになった。 (1)シンガポールへの日系企業の直接投資は、市場確保、低賃金などを目的に、政府の輸出指向工業化政策による投資優遇税制や補助金を利用して展開されてきた。この投資は、世界的経営戦略に基づき、シンガポールを地域統括センターにマレーシア、インドネシア、タイやフィリピンなどアジア地域内の生産分業関係を形成し、シンガポールの経済発展に貢献してきた。 (2)インド政府の輸出指向工業化政策に対して、日系企業の直接投資は、巨大な国内市場を主な目的とし、アメリカ・ヨーロッパ諸国の企業に比べて投資額の増加が遅い。また、日系企業は、インドをアジア地域内分業の生産拠点に位置づけておらず、シンガポールを金融センターとして利用している。 (3)当研究の仮説であるシンガポールを結節点とするアジア地域の多層的経済協力システムは、形成されていない。この形成には、本社の投資を含む決定権をシンガポールの地域統括センターへ分権化することが必須の条件である。 (4)インドをアジア地域内の生産分業関係に組込むには、インドでの安定的な生産の成功経験が必要であり、日系の中規模の部品生産企業の投資を可能にする政府のインフラ整備が緊急の要件である。そして、企業の社会的、文化的、心理的バリアーを取除くため日本政府の経済協力も必要な要件である。
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[Publications] 山本盤男: "インドの外国投資政策と日系企業の直接投資" エコノミクス(九州産業大学経済学部). 2・(未定). (1997)
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[Publications] 木元富夫: "シンガポールの経営風土と日系企業" 経営学論集(九州産業大学経営学部). 8(未定). (1997)
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[Publications] 水戸康夫: "インドへの直接投資動向と将来展望" 九州共立大学経済学部紀要. 70(未定). (1997)
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[Publications] 水戸康夫: "シンガポールの外資政策とその実績" 九州共立大学経済学部紀要. 70(未定). (1997)