1996 Fiscal Year Annual Research Report
カリブ海での過去数百年の気候変化とサンゴ礁周辺海域での生物・有機物分布
Project/Area Number |
08041089
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡田 尚武 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WINTER Amos プエルトリコ大学, 海洋科学科, 教授
JORDAN Richa 山形大学, 理学部, 講師 (90260455)
村山 雅史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50261350)
長谷川 四郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90142918)
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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Keywords | サンゴ礁 / 環境変化 / 酸素同位体 / 石灰質ナノプランクトン / 炭素同位体 |
Research Abstract |
平成9年6月に山形大学のJordanがプエルトリコに出かけ,大陸棚と陸棚斜面における各層採水を行い,ボーリング地点の選定を行った.平成9年11月には北大の研究者5名が現地に出かけ,La Paragueraサンゴ礁からボーリングコアを採取すると共に,同位体とプランクトン分析用の各層採水を行った.また,プランクトンと底生有孔虫の遺骸・生息相分布を調べる目的で,陸棚を横切る測線に沿った底質採取を行い,サンゴ礁の炭素・窒素・隣循環の生物地球化学的な関係を明らかにするため,動植物の生体試料を採取した.さらに,プエルトリコ大学の研究グループが過去数年間にわたって採取してきた海水試料に,同位体とプランクトン分析用の処理を加えて持ち帰った. 採取したサンゴのコアに含まれる環境変化記録の有意性を検証する目的で,18世紀初頭の小氷河期と現代の数年間に相当する部分について酸素と炭素の同位体比変化を調べた結果,カリブ海の熱帯海域でも小氷河期には現在よりも最大2℃の水温低下があったことや,炭素同位体の年周期は,この地域の雨期乾期の日射量(雲量)変化に依存することなどが判明した.また,今回採取した底質試料に含まれる石灰質ナノ化石を調査したところ,サンゴ礁の発達する大陸棚の陸側においてGephyrocapsaoceanicaの豊富な産出が認められ,西太平洋やインド洋で知られている沿岸域や縁海に特有な群集組成は,カリブ海にも共通して存在することが初めて明らかになった.さらに1995年に実施された各層採水試料中の石灰質ナノプランクトン群集を予察的に観察し,カリブ海熱帯海域での群集密度と明瞭な季節変化を明らかにした.
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