Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HERY Harjant インドネシア, 気象庁, 観測研究部長
SRI Woro B.H インドネシア, 技術応用評価庁, 研究部長
BAYONG Tjasy インドネシア, バンドン工科大学, 助教授
PAULUS Agus インドネシア, 気象庁, 予報研究部長
沼口 敦 環境庁, 環境研究所, 研究官 (30237797)
鈴木 雅一 東京大学, 農学部, 助教授 (10144346)
長谷部 文雄 茨城大学, 理学部, 助教授 (00261735)
高橋 正明 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (70188051)
村上 勝人 気象庁, 気象研究所, 室長
深尾 昌一郎 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30026249)
塩谷 雅人 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 助教授 (50192604)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30115886)
北 和之 東京大学, 理学部, 助手 (30221914)
橋口 浩之 京都大学, 超高層電波研究センター, 学振PD
佐藤 薫 京都大学, 理学部, 助手 (90251496)
西 憲敬 京都大学, 防災研究所, 助手 (00222183)
高薮 縁 環境庁, 環境研究所, 主任研究官 (10197212)
中沢 哲夫 気象庁, 気象研究所, 主任研究官
濱田 純一 京都大学, 超高層電波研究センター, 学振DC
松本 淳 東京大学, 理学部, 助教授 (80165894)
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Research Abstract |
本研究の目的は,これまで資料公開や連続性・信頼度の限界のため"気候学上の空白領域"であった,赤道西太平洋〜インド洋間に位置する「海洋大陸(maritime continent)」の気候学的実態を,その大部分を占めるインドネシア国内の気象官署資料をベースに飛躍的に解明することである.具体的には,インドネシア気象庁(BMG)本庁および傘下官署等に,大部分手書きまたはタイプ打ちのまま保管されている(1)雨量観測データ,(2)他の地上気象観測データ,(3)高層観測データなどの気象観測資料を過去約30年分収集してデジタル化し,有効性(連続性・信頼度)の検討を踏まえて一般的利用可能な数値データベースとするとともに予備的解析を行う計画を立てた.計画調書の時点では3年計画であったものが2年計画として採択されたため,交付申請書の時点で,計画調書では2年次に実施予定の内容も1年次の8年度中に一部前倒しで行う形に修正した. 1年次の本年度の研究は,ほぼ交付申請書記載の通り進行している.まず8〜9月に,ジャカルタのBMG本庁ならびに10ケ所の地方官署に出張し,観測データ収集作業を開始した(8〜9月).特に研究代表者は約1ケ月間滞在して,(1)〜(3)の全てに関するインドネシアの地方気象官署での一般的観測実施状況(精度・連続性・記録方法など),特に南部スマトラ地域(4州)における具体的実状ならびに大気環境を,詳細かつ実地に調査することができた.さらにデータ公開に関する合意書締結など,本研究に関するあらゆる側面の準備を完了させ,代表者の帰国後も日本国内での作業と並行して,インドネシア側分担者による作業が継続して行われ,(1)について全国160地点の過去30年間のデータベース化がほぼ完成した.12月にインドネシア側分担者(代理者を含む)2名を招聘した際には,この最初のデータベースが日本側に手渡されるとともに,代表者・分担者による検討会(単なる打合せより議論を深めたもの)を,京都,名古屋および東京で行った.最後に2〜3月期には,日本側から代表者が再びインドネシアに赴き,上記データベースに存在した欠測部分を埋める努力を開始するとともに,日本・インドネシア双方のデータ解析で得られた初期成果の相互紹介,来年度の研究の具体的実施方法について細部まで詰めを行った.また(3)について13地点にわたる過去5年間のデータベース化をも開始した. (1)の一部について行ったデータ解析の初期成果としては,まず,雨量の季節変化が,(i)南半球に位置するジャワ・バリ・小スンダ領域,(ii)赤道直下で西側に位置するスマトラ・カリマンタン領域,(iii)赤道直下で東側のスラウェシ・西イリアン領域,の3つに区分できることを確認した.第二に,季節変化が比較的明瞭な(i)の領域における雨季の始まりと終わりが,これまで気象衛星の雲観測で求められていたものよりやや早いことがわかった.またエルニーニョなどの経年変動による雨量の増減が,季節内変動(30〜60日周期)やさらに波動状雲団(約20日,約4日等)の活発化を通じて起こっていることを確認することができた.以上の成果は,国内学会,国際会議などで双方の研究者によって発表されるとともに,現在国際学術誌へも投稿準備中である.
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