1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041120
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
柴山 知也 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (40143391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN The D ホーチミン市工科大学, 工学部, 講師
KABILING Mic フィリピン大学, 工学部, 助手
WINYU Rattan スリパトム大学, 工学部, 講師
WUDHIPONG Ki スリパトム大学, 工学部, 講師
NGUYEN Ngoc ホーチミン市工科大学, 工学部, 講師
取出 伸夫 佐賀大学, 農学部, 助教授 (70212074)
茅根 創 東京大学, 理学研究科, 助教授 (60192548)
山内 康英 国際大学, グローバルコミュニケーションセンター, 助教授
岡安 章夫 横浜国立大学, 工学研究科, 助教授 (20213994)
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Keywords | 海岸問題 / 途上国 / 発展段階 / 産業化 / 近代化 |
Research Abstract |
アジア地域の発展途上国では、近年の飛躍的な経済発展に伴って農業・工業・リゾート開発が急速に進められた。その結果、かつて人類が経験したことのないほどの急激な環境システムの変化にさらされている。本研究では環境問題を人間活動と関係づけて捉え、環境問題が本来社会の産業化・近代化の過程と密接に結びついた社会問題であることを論証した。 個別の国が沿岸開発においてどのような問題を有しているかを把握するために、国別に検討を行った。異なる産業化の過程にある国々の状況を比較検討することにより、環境問題の発現が近代化の発展段階によって異なることを明らかにしようと試みた。環境問題のうち海岸環境問題に焦点を当てる理由は、アジア諸国(特にASEAN諸国)は現在急速な経済発展の途上にあるため、社会変化を捉えやすいからである。また、この地域の海岸は大規模河川からの大量の土砂の供給と波浪による侵食の動的な平衡の上に形成されているため、微妙な国土利用の変化に対しても大きな反応を見せる潜在的な可能性を有している。 ベトナムでは、一部の海岸における急激な海岸浸食・河口閉塞・河港への航路の確保が問題となっている。伐採によるマングローブ林の減少が海岸浸食を促進している。環境基準が存在しない中で海老の養殖池の建設も始まっており、かつてタイが経験した海岸線の荒廃を招くことが懸念されている。産業立地の進展に伴い、海岸利用の輻輳化が一層の混乱を招く可能性があるため、継続して観察していくことが求められる。1980年代以降急速な経済発展を遂げタイ国では、産業育成の一環として沿岸域開発が盛んに行われた。海岸問題は急激な経済発展のひずみの一環として起こっている。ミャンマーでは海岸利用の輻輳化は始まったばかりである。大きな経済的変換点を迎えている国々については、経済の発展段階を時間座標にすることで環境問題を1つの時系列に並べることができる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 柴山知也: "途上国の発展段階に位置づけた海岸問題発現の比較研究" 海岸工学論文集. 43(2). 1291-1295 (1996)
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[Publications] 柴山知也: "建設社会学" 山海堂, 129 (1996)